地域文化論講座
地域文化論講座
日本学
私たちは、日本の文化・社会の歴史的変容と現代的課題について、文学や芸術、歴史や思想といった観点から研究しています。国際社会で活躍するためには、日本の文化や社会について深く理解しておくことが不可欠だからです。
日本近現代社会論(長志珠絵)
近代世界と東アジア、帝国と人びとの移動・文化研究、戦争と占領期研究等、歴史研究に関わる諸問題を研究対象とします
日本伝承文化論(木下資一)
説話伝承、習俗、宗教文化などを対象に、日本人の心性、行動様式を研究します
日本文化表象論(板倉史明)
日本映画を映画学の手法を用いて分析しながら、「日本」という枠組み自体を問い直します
日本言語文化論(昆野伸幸)
日本のナショナリズムについて、前近代も視野に入れつつ、近代の思想を主な対象にして研究します
日本文化交流論(寺内直子)
ロ本の伝統芸能や音楽を束アジアや西洋との関わりの中で動的に捉えます
アジア・太平洋文化論
本教育研究分野は、アジア・太平洋地域の人と文化の交流の歴史を踏まえ、経済と社会の発展が著しい近年の現実を直視し、将来を展望することを学び、研究することを目指しています。教員の研究領域は、歴史学、国際経済学、国際政治学、文化人類学、宗教学など多彩で、授業科目の対集は、大きく東北アジア、東南アジアとオセアニアの三つの地域に分かれています。
経済文化交流論(石原享一)
グローパル化と文化摩擦、南北格差、経済文化交流と平和共生の可能性について検討します
中国社会システム論(王柯)
中国の文化と政治、国家と社会、中央と辺境、中華と世界の諸問題を考察します
北アジア社会文化論(萩原守)
主に北アジアのモンゴル民族史を講じ、清朝、ロシア、日本にも言及します
東南アジア国家形成論(貞好康志)
国家という普遍現象が東南アジア固有の歴史空間でどう展開したかを考察します
東南アジア宗教・社会論(伊藤友美)
東南アジア、特に上座部仏教圏における社会構造、社会変革の動きについて学びます
オセアニア社会文化論(窪田幸子)
オセアニアの社会と文化、特にオーストラリアの先住民、多文化主義などを国際的なつながゆを視野に考えます
ヨーロッパ・アメリカ文化論
世界の政治、経済、文化、社会をこれまで牽引してきたヨーロッパおよびアメリカという地域と、そこに住む人ぴとの文学、思想、芸術、歴史等をヨーロッパ・アメリカ横断的に研究することで、私たち非西洋世界の人間にも根づいているようにみえる欧米的価値観、生活形態、社会制度等を相対化し、再検討することを目指します。
ヨーロッパ精神文化論(谷本慎介)
文化危機を象徴する<世紀末〉における人間精神のありようを論じます
ヨーロッパ市民社会論(石塚裕子)
貴族から市民社会へ移行し生じた諸問題(王室、教育、余暇など)を検討します
現代アメリカ論(井上弘貴)
合衆国の動向を政治や社会の視点から分析し、アメリカの変容が私たちに何をもたらすのかを考えていきます
環大西洋文化論(小澤卓也)
コーヒーやフルーツといった私たちの日常生活にいまや欠かせないものを手がかりとして、複数形のグローバル・ヒストリーを描いていきます
ヨーロッパ女性文化論(坂本千代)
宗教、思想、芸術の分野における「女性」をめぐる問題を考えます
アメリカ多元文化表現論(西谷拓哉)
文学、映画、音楽等の芸術を通してアメリカ合衆国の文化の特質を探ります
ヨーロッパ・アメリカ宗教文化論(野谷啓二)
異文化を統合する共通文化を生み出してきたキリスト教を中心に、近代社会文化の諸相を明らかにします
出身
高校 |
大阪府立三島高校 |
最終
学歴
(取得
学位) |
立命館大学大学院史学科日本史学専攻博士 後期課程単位取得退学、博士(論文、文学) |
主要
業績 |
単著「近代日本と国語ナショナリズム」(吉川弘文館,1998)、単著『戦争<以後>としての占領期・占領空間』(有志舎,近刊予定)、共著:「近代知の成立」(岩波講座近代日本の文化史第3巻,岩波書店,2002:ハングル翻訳出版2011)、共著「帝国と学校」(昭和堂,2007、共著「戦後という地政学」(東京大学出版会,2006)
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歴史研究の面白さは材料を集め、読み解く楽しみに加え、自分の立ち位置を社会的時代的構造の中で考えること。
より一般的には過去という他者への理解や想像力を鍛えることです。
まずは自分の歴史認識そのものを問いに。
自分の町の災害史を知っていますか?
平安朝の施政者の名前は知っているのに、なぜ自分の生活空間の過去史―「地域史」といいます―を学んでいないのでしょうか?
あるいは隣国の過去史―例えぱ韓流ドラマ理解にはせめて朝鮮戦争像は必要ではありませんか?
サプカルも含めたこうした歴史認識・次世代教育の議論も歴史研究の重要なテーマです。
「自分」という存在も歴史性を持ち、好き様いやものごとの規範、考え方さえ歴史的かつ文化的な要素と無関係ではありません。
ところで私の専門領域は、日本近現代の社会史思想文化史ジェンダー史。
近年この領域は東アジア近代世界として、あるいは帝国空間や植民地支配の問題系として、あるいは人びとの生活や移動空間として、従来の一国史理解ではない新たな作業を必要としています。
同時に近現代史は今日につながる過去として、その歴史化(相対化)と知性の鍛錬が重要です。
専門演習では材料を集める、材料をよみとく、足下の過去をみつめる、過去認識の持つ歴史性(政治性)を考える等等、歴史的考察というスキルを通じ、結論を導き出すための思考や論理を鍛え、議論を楽しみたいと思います。
出身
高校 |
福岡県立京都高校 |
最終
学歴
(取得
学位) |
京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程単位取得退学。博士(学術) |
主要
業績 |
「変容する東南アジア社会」(共著、めこん、2004年)、「インドネシア華人の生地主義ナショナリズム」(「二十世紀研究」第6号、2005年)、「新版東南アジアを知る事典」(分担執筆、平凡社、2008年) |
東南アジアは人々の言葉や暮らしぷりや価値観が世界で最も多様な、豊かな地域です。
中でも、民族の数が約500とさえ言われるインドネシアなど「海と島々の東南アジア」が私の専門。
講義では、この多様性に満ちた地域で人々が二千年来どのように国や社会を形作ってきたのか、世界の諸文明との関わりの中で考察します。
領土を持たない「港市国家」や儀礼が主眼の「劇場国家」など、近代政治学の教科書的知識が吹き飛んでしまうような東南アジアのめくるめく歴史を一緒に旅しましょう。
他方、現代の東南アジアは決して地上の楽園ではなく、国民統合や地域統合をめざす中にも政治紛争や経済格差、環境破壊など人類の抱える諸問題が噴出している地域でもあります。
これらの問題に対し、日本で、現地で、どう関わっていくことができるかについては、専門演習で共に考えましょう。
出身
高校 |
中央大学附属高等学校 |
最終
学歴
(取得
学位) |
早稲田大学大学院政治学研究科博士後期課程満期退学、博士(政治学)。 |
主要
業績 |
「ジョン・デューイとアメリカの責任」(木鐸社、2008年)、「公共性をめぐる政治思想」(分担執筆、おうふう、2010年)、シリーズく政治の発見〉「伝える―コミュニケーションと伝統の政治学」(分担執筆、風行社、2011年) |
新しい科目を担当することになり身の引き締まる思いです。
アメリカ合衆国はこれまでの圧倒的な政治と経済のバワーを低下させつつあることが指摘されていますが、21世紀前半の現在においてはそれでもなお世界のなかの超大国であり、活気に満ちあふれたその社会や文化は世界中から多くの人びとを惹きつけてやみません。
日本がそうであるように、アメリカもまた大きな変容を対外的にも国内的にも経験しつつあり、その変容がアメリカの人びとのみならずその外部にいる私たちにもどのような影響を及ぼしうるのか、注意深く観察する必要があります。
これまで19世紀末から20世紀前半にかけての合衆国をおもに研究してきた私にとっては、現代アメリカ論は新しい挑戦です。
学生のみなさんと一緒に試行錯誤をしながら、より良い講義にしていきたいと思います。