第43回「アジア経済研究所発展途上国研究奨励賞」(2022年度) 表彰作品決定について

2022年06月13日

ジェトロ・アジア経済研究所(IDE-JETRO、所長:深尾京司)は、2020年10月~2021年9月の1年間に公刊された図書、論文など発展途上国の経済、社会などの諸問題を調査、分析した著作57点の中から次の二つを「アジア経済研究所発展途上国研究奨励賞」表彰作品として決定しました。

  • 下條尚志 著 「国家の「余白」 メコンデルタ 生き残りの社会史」(京都大学学術出版会)
  • 堀内義隆 著 「緑の工業化 台湾経済の歴史的起源」(名古屋大学出版会)

「アジア経済研究所発展途上国研究奨励賞」は、途上国に関する社会科学およびその周辺分野の調査研究水準の向上と研究奨励に資することを目的として、昭和55 (1980)年度に創設し、今回で第43回目の表彰です。57点は大学や出版社等から推薦されたもので、倉沢愛子 慶應義塾大学名誉教授を委員長とする選考委員会が選考し、ジェトロ・アジア経済研究所が決定しました。

なお、表彰式を7月1日(金曜)14時00分よりハイブリッド形式にて開催し、受賞者による講演を行います。

第43回「アジア経済研究所発展途上国研究奨励賞」(2022年度)

表彰作品

下條尚志 著 「国家の「余白」 メコンデルタ 生き残りの社会史」(京都大学学術出版会)
豊かな自然と世界有数の農業生産を誇り、大都市からも近く、いまはクルーズ観光が人気のメコンデルタ。しかしここは20世紀最大の動乱の舞台でもある。いくつもの国家が、統計・分類、文書化、マッピング、暴力を用いてこの地域の人々を捕捉しようとした。しかし、そうすればするほど動乱が拡大する。民族的混淆、流動する人・モノ・情報、闇市や徴兵忌避の寺院等々、デルタ社会の生態歴史文化的特徴のなか「国家の介入しにくい空間」が如何に作られるのか、そのメカニズムを詳細な民族誌で解き明かす。
堀内義隆 著 「緑の工業化 台湾経済の歴史的起源」(名古屋大学出版会)
植民地下の台湾は、たんに帝国の食糧供給基地にとどまったのではなかった。見過ごされてきた工業化の契機を、豊かな農産品の加工・商品化と、それに伴う機械化・電動化に見出し、小零細企業が叢生する農村からの発展経路を実証、戦後台湾経済の原型をとらえた注目の成果。

推薦著作

単行書 57点(重複分等除く)

選考委員会

委員長
倉沢 愛子 慶應義塾大学名誉教授
委員
上田 元 一橋大学大学院社会学研究科教授
大塚 啓二郎 ジェトロ・アジア経済研究所新領域研究センター 上席主任調査研究員
栗田 禎子 千葉大学大学院人文科学研究院教授
竹中 千春 元・立教大学法学部教授
深尾 京司 ジェトロ・アジア経済研究所所長
藤田 幸一 青山学院大学国際政治経済学部教授

(以上50音順)

表彰式および受賞記念講演

2022年7月1日(金曜)14時00分~15時30分
場所:ハイブリッド形式

ジェトロ・アジア経済研究所
研究推進部 研究イベント課(担当:佐藤)
E-mail: info@ide.go.jp
Tel: 043-299-9536 FAX:043-299-9726