ヨーロッパ・アメリカ文化論 教育研究分野
教育・研究の目標
世界の政治、経済、文化などで今まで中心的役割を果たしてきたヨーロッパおよびアメリカという地域に住む人々の言語、思想、芸術、社会制度などについて研究し、私たちの中に根付いているように見える欧米的な価値観を再検討していきます。
教員紹介
[横山良教授]
アメリカ合衆国の歴史を専攻しています。「圧制からの世界の解放」を声高に唱える現在のアメリカ指導者の背景には、独立宣言や合衆国憲法に表現された自由と民主主義を絶対的に正しいものとして世界に広めようとする「自由の帝国」としてのアメリカの歴史があります。授業では様々な材料を使ってこのようなアメリカの素顔に迫りたいと思います。
『アメリカ合衆国の歴史』(共著、ミネルヴァ書房)、『アメリカ史』(共著、山川出版社)
[笹江修教授]
私は20世紀前半の、イギリス小説を研究してきました。その関係から言いますと、第一次世界大戦が、ヨーロッパの文化と思想に大きく影響したように思います。将来は、大戦のこの影響を手がかりにして、帝国主義の時代から第二次大戦までのヨーロッパ文化の系譜作りをしたいと思っています。しかし目下のところは、まだイギリス文学に限定して作業を進めているところです。
「ロレンスの『異教の過去へのノスタルジア』」(D.H.ロレンス研究、第8号)、「航跡を見つめる男――ジョウゼフ・コンラッドの『潟』」(Kobe
Miscellany, no2)
[谷本慎介教授]
生まれ育った大阪市南側の阿倍野・天王寺界隈のいわば<通天閣文化圏>と、そんな狭苦しいローカリティーを突き抜けたどこかの宙空に開かれるかもしれない、ユニヴァーサルな<普遍文化圏>の両方へのこだわりを抱きつづけています。専門分野は元々、ニーチェやワーグナーを中心としたヨーロッパ近代文化ですが、文楽や歌舞伎を含めた劇場的なものをつねに視野に置いています。ここしばらくは西洋近代を宿命づけた<アポリア>の解明に精力を注ぎます。
『ワーグナー事典』(編集と主要項目等の執筆・東京書籍)、「西洋近代における精神の危機と、その克服の道――オイゲン・ヘリゲルの場合」(神戸大学国際文化学部紀要23号)
[石塚裕子教授]
ヨーロッパ市民社会論担当。専門は19世紀イギリスの文学・文化です。世界に先駆けて、産業革命を経験し、いち早く資本主義を確立し、七つの海を支配し、栄華を誇る大英帝国に生きたディケンズなどの文人たちの作品や、シャーロック・ホームズものなど、大衆文化をとおして、ヴィクトリア朝が抱えていた様々な社会問題を考えます。生まれは北海道で土地柄か大雑把な性格で歌うことが何よりのストレス発散です。
著書『ヴィクトリアンの地中海』(開文社)、翻訳『デイヴィッド・コパフィールド』5巻(岩波書店)
[坂本千代教授]
専門はフランス文化学、特にフランスの女性作家とその作品に興味があります。ジャンヌ・ダルク、19世紀の女性作家ジョルジュ・サンドやマリー・ダグーらを研究していますが、授業ではもっと幅広く、ヨーロッパの女性の歴史や表象の問題を取り上げたいと考えています。
『ジョルジュ・サンド』(清水書院)、『ジョルジュ・サンドの世界』(共著、第三書房)
[石川達夫教授]
私の専門はスラヴ文化論で、特にチェコとロシアの文化・思想・文学などを、広くヨーロッパを視野に入れるように努めながら研究しています。元々ロシア文学出身で19世紀ロシア文学を研究していましたが、院生時代にチェコに留学して以来、次第にチェコ文化研究の方に重点が移って来ました。テレビ・ラジオの番組に出演したり、番組の監修を頼まれたりすることがありますが、それは日本で数少ないチェコの専門家としてです。
『マサリクとチェコの精神』(成文社)、『黄金のプラハ』(平凡社)、『プラハ歴史散策』(講談社)
[西谷拓哉助教授]
専門はアメリカ文学および映画論です。アメリカ合衆国は政治、経済だけでなく芸術においても絶えず新しいものを追求する巨大な実験場と言っていいでしょう。文学や映画の分野でも文化の多様性を背景として独自の表現が次々に生まれています。そして、その一つ一つの表現にはアメリカの過去、現在、未来が隠されているのです。芸術からアメリカを読み解いていくおもしろさを学生諸君と一緒に体験したいと思っています。
「解凍される映像--ヘミングウェイ『殺し屋』とその映画化」(『英語青年』2004年4月号)、「『緋文字』の映像性」『緋文字の断層』(開文社)所収
[安岡正晴助教授]
専門分野は政治学(現代アメリカ政治、比較公共政策)。政治学の中でも特に政策を研究しています。複雑な家庭事情や異なった教育・人種的・社会的背景を抱えた人々の暮らしを守り、様々な対立を解消していくために、アメリカの政府や市民、NPOがどのように格闘しているのかを研究することは、私たちが直面している様々な社会問題の解決に力強い指針を与えてくれます。また第二次大戦後、アメリカの圧倒的な政治的・社会的・文化的影響を受けつづけてきた日本を客観的に見つめなおす上で、アメリカ社会の現実や政治・法律などを比較の視点から研究することは大変役立ちます。
『女性の公職参加と選挙制度-日米英の比較研究』八千代出版(共著、近刊)、「アメリカ連邦制と分権改革再考――『1996年福祉改革法』以後の展開をふまえて」(『国際文化学』第19号)