神戸大学国際文化学研究科 国際文化学研究推進センター主催 第5回講演会 「『青海衛拉特聯盟法典』が持つモンゴル伝統法典の特徴について」開催のお知らせ

神戸大学国際文化学研究科 国際文化学研究推進センター主催 第5回講演会
 「『青海衛拉特聯盟法典』が持つモンゴル伝統法典の特徴について
―青海モンゴル資料系統整理の一環として―」

日時
2014年12月15日(月)17:00-18:30
場所
神戸大学国際文化学研究科 E棟4F 学術交流ルーム
講師

青格力(チンゲル)氏

中国社会科学院歴史研究所内陸ユーラシア研究センター副主任
内蒙古大学兼職研究員、早稲田大学招聘研究員

お問い合わせ先:萩原守(国際文化学研究科 教授) hagihara[at]kobe-u.ac.jp
※[at]をアットマークに変えてください。

当日の様子

開所式

 2014年12月15日のチンゲル(青格力、中国社会科学院研究員)先生による講演会は、「『青海衛拉特聯盟法典』が持つモンゴル伝統法典の特徴について――青海モンゴル史料系統整理の一環として」というテーマで行われた。先生は日本の早稲田大学に留学され、モンゴル史研究で著名な吉田順一先生のゼミにて博士号を取得されたため、流ちょうな日本語で講演を行って下さった。極めて専門的、かつ高度な内容を伴い、ある意味ではマニアックとも言えるような講演会であったにもかかわらず、学内外からの多数の参加者があり、終了後も活発な議論が行われた。講演の内容と質疑応答の概要を以下に記したい。
 この法典は、元々青海民族大学の先生が発見されたモンゴル文の法典で、2004年からチンゲル氏も加わって研究が進められた。西モンゴル族(オイラト、衛拉特)のジュンガル王国から1636年に青海地方に進軍・移住してきたグーシ・ハーンが青海ホショート族の祖となったのであるが、その第6子であるダライバートルという人物が青海地方で大規模な会盟を開いて制定したのがこの法典だとのことである。ダライバートルの死は1690年代なので、この法典の制定は17世紀末、すなわち清朝への帰属以前だと思われる。そのため、清朝からの影響、すなわち中国や満州族からの影響を受ける以前の西モンゴル、チベット等の古い法的伝統を保持している可能性が高い。
 法典の構成としては、ダライラマ5世による前文、グーシハーンの法典、ダライバートルの法典という順番になっている。条文の並べ方について言うと、『ハルハジロム』などのよく知られたモンゴル法典が比較的無秩序な並べ方であるのに対して、この法典は、例えば、ラマ関係、人体への傷害を加えた罪、両親を養わない罪、人命関係、駅站関係、商業関係、火災、等々、ある程度分類整理された並べ方になっている。この並べ方がチベットの法的伝統に基づく物か、あるいは中国の律の影響があるのかは、なお未解明とのことである。
 参加者からの質問も多数出た。その回答には、チンゲル先生はもちろんのこと、司会を務めて下さった山田勅之先生(大阪成蹊短大准教授。本学総合人間科学研究科で博士号取得)、手塚利彰先生(仏教大学)、筆者萩原も加わり、質問がしばしばそのまま議論につながるという有意義な講演会になった。欲を言えば、講演の前に、歴史的背景を説明する前座のような講演があれば、よりわかりやすい講演会になったかと、若干反省している。

(記:萩原守 国際文化学研究科教授、本講演会コーディネ―ター)

講師の青格力(チンゲル)先生
青格力先生(右)とコーディネーターの萩原教授(左)
司会の山田先生
会場の様子