「美しい」キリスト者の検証
 ――「郷土」における宣教イメージの反転――

 
 

代表者

    • 南郷 晃子 (神戸大学国際文化学研究科・協力研究員)

分担者

    • 松井 真之介(神戸大学国際文化学研究科・協力研究員)                 
    • 浅井 雅(神戸大学国際文化学研究科・協力研究員)               
      井上 舞(神戸大学人文学研究科地域連携センター・特命助教)

 協力者

  •   清川 祥恵(大阪工業大学・特任講師) 
  •  パトリック・シュウェマー(武蔵大学・准教授) 
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プロジェクトの目的

 
 当プロジェクトは、2019年度の研究プロジェクト「キリスト者の「発見」をめぐる言説の検証―近代移行期の「他」の読み替え―」を継続・発展させるものである。2019年度は「発見」した西洋への眼差しを近代日本を中心に検証した。今年度は特に、信徒や宣教師の活動を「郷土」における「美談」とする近代の表象に焦点をあてる。
 近代における日本のキリスト教の「復活」および再布教の活動は、キリスト教の信仰に支えられながら教育に従事したヴォーリズのような信仰者や、地域社会の貧困と対峙したド・ロ神父のような社会福祉事業を展開した宣教師の活動により「美しく」語られる。今日では記憶はすでに半ば伝承化し、宣教をめぐる活動は各地域で顕彰されている。しかし近代化とともに急激に「美しく」なるキリスト教は、19世紀初頭には「魔」の法、外道の法と呼ばれるものであった。この反転は、キリスト教の他者性と関連するとみなせる。近世、近代を通じキリスト者はコミュニティに訪れる「他者」であり、その価値判断は、極端な正負の振れ幅を持った。近代キリスト者の美しさは西洋をめぐる急激な価値転換と連動する「美しさ」とみなせる。
 しかし一方で、地域社会における伝承、あるいは噂話といった口承説話に分け入ると、近世期以来の地域伝承が滲み出してくる。仄暗い「キリシタン」伝承の上塗り行う宣教師、教会の活動も含め、「美しい」キリスト者表象についての研究を進める。


 
 
研究会等の情報