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私の就職活動体験談

−自分に自信を持って、ポジティブに!−

コミュニケーション論 三宅理恵


 今回は都合により、実際に皆さんの前でお話できなくなってしまい、大変残念に思っています。よって、その代わりにこのように文章として、私の就職活動のプロセスとそれを通じて感じたことをお話したいと思いますが、これが皆さんの就職活動において何かのヒントになれば、と思っています。 私が実際就職活動として、セミナーや面接で企業を回っていたのは3月末から6月半ばの約2ヶ月半でした。企業の採用活動が年々前倒しの傾向にある今、これではスタートが遅のでは、と思う人もいるかもしれませんが、私の場合、3回生終了後の1998年4月から1999年3月までアメリカに休学留学していたので、その頃は、実際に動きたくても動けない、という状況でした。就職活動には絶対的な決まった形態、というものはありません。私の例も、一般的なスタイルとは少し異なるかも知れませんが、一つの例として何かの参考にしていただけたら、と思います。

 まず最初に、私の就職活動のプロセスを順に追ってみたいと思います。上でも述べたように、3月末まではセミナー、企業回りなどできない状態にあったのですが、実際に「就職」というものを意識し始めたのは、もう少し早い、11月くらいでした。アメリカ留学という環境上、周囲に就職活動しようという日本人があまりいなかったので、情報があまりなく、就職について、気にはなるものの、実際に何をしたらいいのか、まるで見当のつかない状態でした。しかし、日本ですでに活動を終えた友人から聞いた、就職活動をしている大学生が意見情報を交換するインターネット上でのメーリングリストに入り、その悩みは解決しました。今日本で実際に学生はどう動いているのかがダイレクトに感じられるメーリングリストは、アメリカという地で、しかも周囲に就職活動をしている人間がいない環境で、ともすれば、就職活動など遠い世界のように感じてしまいがちだった私に、いい意味で大きな刺激を与えてくれました。日本語対応のノートパソコンを持参していたのは、就職活動にとって、本当にラッキーでした。もし、私と同じような状況で留学される方がいれば、パソコンを持参される事を本当にお勧めします。普段のレポート作成時の資料集めやタイピングのみならず、就職活動において、日本語のパソコンがあるのとないのとでは、情報の入ってき方が大きく違います。私の場合も、資料請求から情報収集、企業研究など、大活躍でした。

 その後、年明けくらいから資料請求を開始しました。そのほとんどを企業のホームページやリクルートナビなどの就職サイトから行ったので、実際に書いた葉書は20枚くらいでした。数年前迄は就職活動で資料請求の葉書を数百枚書くのが常識のように言われていましたが、今では、ほとんどインターネットで大丈夫です。日本に大量に葉書を送るのが困難な状況にあった私には非常にラッキーでした。 とりあえず、資料請求とインターネットによるセミナー予約だけ済ませた状態で3月末に帰国しました。帰国後しばらくは届いた資料に目を通したり、あらかじめインターネットで申し込んでいたセミナー参加したりして様子を見ることから実際の活動を始めましたが、この頃は実際に業種はあまり明確には絞れていない状態でした。4月いっぱいは、とりあえず興味のある企業にスケジュールの許す限りセミナーに行ったりして、その業種、その企業について勉強しながら、自分の進みたい道を少しずつ明確にしていくというような感じでした。

 そして次第に5月頃からは、大体旅行業界とメーカーの二つに絞って活動するようになりました。まず、旅行業界を志望したのは自分自身が「旅行」によって得た、たくさんの素晴らしい経験を今度は多くの人に提供する側に立ちたいと思ったからです。また、メーカーはアメリカ留学中の自分の姿がその志望のきっかけとなりました。日本、アジアに特に興味のないアメリカ人でも、その日常生活に日本製品が大きな役割を果たしていること、日本の技術は世界に誇れることを実感し、それでは技術屋ではないが、技術を海外営業などの側から世界にのニーズにあわせて提供したいと思ったのです。 旅行とメーカー、両方を通じて、国際的な業務に関わる可能性があるかどうかが私の企業選びの最大のポイントとなりました。なぜなら、アメリカで過ごした1年は自分にとってかけがえのないものであった、という思いが強く、そこで学んだ事を無駄にしたくなかったのです。旅行とメーカー、この全く違った二つの志望業界に、よく疑問を持たれましたが、自分の中で何か絶対に譲れない基準(私の場合、国際的であること)がはっきりしていれば、自然と面接でも志望理由を説明できるものです。ゴールデンウイーク明けくらいからは海外進出しているメーカーと旅行会社でも海外旅行業務に力を入れているところ中心に、さらに絞るようになりました。

 そんなふうに活動を進めていた5月中旬、ありがたいことに旅行業界から一社、そして6月初旬にはメーカーからも一社、内定を頂きました。しかし、それまで旅行とメーカー、「どちらか決まればいいや」と安易に考え、問題を先送りにしていた私は、幸運な事にその両方から内定もらい、大変悩みました。おかしなことですが就職活動中で、仕事について、自分について、一番考えた一週間でした。 そして結局、内定を頂いたメーカーの本田技研工業に決めたのは、留学中に思った一番純粋な、日本の技術を誇らしく思う気持ちが忘れられなかったことからです。また、旅行業を提供する側に立って見て、旅行は好きだが自分は本当にその業界に向いているのか。それこそ、自分の適性から興味、自己分析の徹底的なやりなおしでした。

 このように、6月中旬に本田技研工業のほうの内定をお受けする形で私の就職活動は幕を閉じたのですが、最後に、今、就職活動を終えて感じる事を少し述べてたいと思います。就職活動において大切なこと−それは自分のことを良く分かること、そして自分に自信を持つことではないかと私は思います。 数ヶ月に及ぶ就職活動では、いろいろな企業の面接を受けて、うまくいかないこともたくさんあります。面接で話すのは自己PRと志望動機、そして学生時代力をいれたこと、この3つが主ですが、それで落とされてしまうと、本当は自分のもつ特性ととその企業の求めるものが合わなかっただけなのに、自分の人格を全否定されているような気持ちになることもしばしばです。特にそれが続くと、本当に滅入ってしまい、無気力になってしまうこともあるかもしれません。しかし、それは本当は違うのです。私も実際に最初のころ、うまく行かなくてそういう気持ちになりました。しかし、そんなとき、卒論指導のときに、指導教官の先生に「あなたにはあなたの良いところがあるのだから、ありのままの姿で、私はこういう人間だけど、欲しければ、とれば?くらい意気込みで行けばいいのよ」というふうにおっしゃっていただきました。それから、自分自身の中で何かが吹っ切れて、とたんに面接もうまく行くようになったのです。自分の特性が企業の求めるものと合わないからといって、それは自分が劣っているということではないのです。

 また、スランプになると、自分というものが揺らいできます。本当は何に興味があって、どんな仕事がやりたかったのか、全て混乱し、わからなくなってしまったりもします。そんなときに自分の自信の裏付けになるものが、自分で自分自身をきちんと分かっていること、つまり、自己分析が徹底されていることです。自己分析というと、難しく考えがちですが、自分はどういうときに幸せか、何が嫌いで何が好きか、というのを落ち着いて、そして突き詰めて考えることから始めるとやりやすいのではないかと思います。

 最後に、就職活動は大変でつらいと、とにかくネガティブな印象ばかりが目立ちますが、このように突き詰めて自分自身について考え、また、多くの企業に接してたくさんのことを学ぶことのできる機会は、きっと一生のうちにそうはありません。就職活動を自分が成長する良い機会でもあるとポジティブに捉えてみてください。きっと取り組み方も変わると思います。国際文化学部は六甲台の三学部と比べ、就職には不利だ、という声もありますが、私は決してそのようなことはないと思います。逆に、面接で研究内容について話すときなど、逆にその内容が珍しい分、面接官の方に興味を持って聞いていただけて、得したな、と思った事もあります。自信を持って挑んでください。

 それでは、皆さんのご健闘をお祈りしています。

(2000年1月28日)


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