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就職活動体験記

アジア・太平洋文化論 尾崎 陽子


 先日は体験談発表会を欠席してしまい、申し訳ありませんでした。今回こういった形で私の体験をみなさんに発表する場を与えていただいて、うれしく思っています。多くの人が言うことですが、就職活動に正解はありません。私には、みなさんに「こうするべきだ」と言うことはできませんので、できるだけ私がやったことをそのままに、また、自分が去年の今頃知りたいと思っていたことを書こうと思います。

  1. ひたすら勉強期(’99.3.2〜6.26)
     公務員になるための活動は、勉強から始まります。1次試験が行われる6・7月までは、ただただ勉強です。私が本気で勉強を始めたのは、民間を受けるまわりの友人がはがきを書き出す頃でした。もっと正確に言うと、3月2日でした。3月1日にサークルに行って、「私は明日から勉強する!」と宣言したのでよく覚えているのです。ところで、一般的にいうと3月から勉強を始めるというのはかなり遅いようです。私も3月からの実質4ヶ月間、「もう少し早く始めていれば楽だったのになあ」と何度も思ったものですから、早く始めるに越したことはないと思いますが、私が言えるのは、3月からでも何とかなる、ということですので、「もう時間がない」と思っている人もあきらめないで頑張ってほしいと思います。

     さて、勉強内容についてですが、私は民法と経済原論、数的処理から始めました。その後、憲法、行政法を始めて、この5科目をひととおり終えた頃から、専門科目の残りのもの(行政学、政治学、社会学など)と教養科目の残りのもの(文章理解、英語、歴史、地理、思想など)に取りかかりました。

     勉強を始めてすぐの頃は覚えることすべてが新鮮で楽しいのですが、私がいちばん辛かったのは1カ月目から2カ月目の間の頃、4月頃だったと思います。「こんなに勉強しているのに、何も身についた気がしない」と、参ってしまったのです。しかし、2カ月が過ぎた頃から、少しずつ自分の中に身についてきたものを感じることができるようになって(具体的には問題集に正解することができるようになってきて)、頑張ってみようかな、という気になってきました。5月の初め頃に両親に「今年は無理だと思う。」ということを言って、(これから弱気なこと、マイナスなことは言わない、)と決めてからは、周囲の人があきれるほど脳天気に振る舞うようになりました。実際、1次試験までは「地方上級は無理だろうな、運良く国家に受かったらいいな、でも両方ダメだったら来年は県に絶対受かるように1年間みっちり勉強しよう。来年受けるにしても今年をいい加減にしていたら後悔するから、それだけはやめよう、今年は今年で最善を尽くそう」という気持ちでした。私はもともと地方上級(私の場合は地元の島根県)が第一志望でしたが、募集人数が半減したことによって、倍率が40倍近くまで上がってしまって、新聞でそれを見た私は(あらー、これはだめだわ)と思い、どちらかというと国家2種に向けた勉強をするようになりました。

     地方上級と国家2種は、地方公務員と国家公務員という大きな違いがあるわけですが、試験だけに限って言えば、その違いは科目数の違いです。地方上級の試験は若干差はありますが、ほとんどが必須問題で、選択問題はわずかです。国家2種の試験は出題される十数科目のう6科目を選択して答えます。私は時間が足りなくて、地方上級の必須問題である刑法と労働法にはまったく手をつけないままでした。

     勉強方法は本当に人それぞれで、各人が自分に一番合ったやり方をやるのが良いと思います。私が気をつけていたのは、5月、6月になってからは一日になるべくたくさんの科目に手を着けるようにするということです。就職浪人をして多くの時間をかけて勉強している人もいますので、現役の限られた勉強時間でその人たちと勝負しようと思ったら、大事なところだけ、ポイントを押さえて勉強するほかないのではないかと思います。

     特に民法や経済原論は複雑で難しい分面白さもあって、ついつい深入りしてしまいそうになったのですが、それはまた試験に受かってから好きなときにできますので、試験までは広く、浅く、を心がけた方がよいと思います。

  2. 地方上級一次試験(6.27)、国家2種一次試験(7.4)
     本番当日は、もうやるだけ。全力を出し切るのみ、です。もちろん早めに行くことが大切だと思いますが、私が受けに行ったところは受付時間になるまでは構内に入れてもらえず、外で待つことになりましたので、あまりに早すぎると始まるまでに疲れてしまうかもしれません。私は地元の島根大学で受験したために、同窓会のような状態になり、トイレや廊下で旧友に会う度に大騒ぎでした。中にはスーツで来ている人もいましたが、一次試験は人物試験ではありませんので、短パン、サンダル、なんでもOKです。涼しい格好で行きましょう。★神戸市など一部の自治体では一次から面接がある、と聞いたような気がします。その場合はもちろんスーツで。

     私がひとつ気をつけるべきだったなあ、と思っているのは、国家2種の方の、選択科目をどうするか、ということです。私は時間の余裕がなかったため、ぎりぎり6科目だけ勉強していたのですが、当然選択しようと思っていた経済原論の問題がさっぱりわからず、急遽、英語を選択することにしました。経済原論は絶対に選択しようと思っていたため、問題を見ることなく後回しにしていたので、試験の時間がかなり経ってから「どうしよう、さっぱりわからない、英語を取ろうか、どうしよう」と焦るはめになってしまいました。国家2種の専門問題の選択はできれば2科目くらい余裕を持って、多めに勉強しておくのがよいのは言うまでもありませんが、その余裕がなかった場合でも、最初に問題全体を見てどれを選択するか決めた方がよいと思います。私は経済に一番時間をかけて勉強していたので、それを取らなかったのはショックでしたが、一問も解けないのでは仕方ありませんから。

  3. 一次合格→2次試験に向けて(7.9.〜7.27/28)
     県の一次試験の合格発表は7月9日でした。まさか受かるものと思っていなかった私は全く2次対策をしていなかったので、急いで2次試験に向けての対策をしなければなりませんでした。2次試験は2日間に渡って行われ、1日目は論文試験と集団討論、2日目に個別面接でした。2週間ちょっとの間、面接対策の本や受験ジャーナルを見て面接で聞かれそうなことを書き出し、それに対する答えをひととおり考える・論文についても過去の出題を調べて(これも受験ジャーナルなどに載っています)、今年出そうな時事問題について制限時間内で、規定の字数で書いてみる、模範解答とくらべて見る、といったことをしました。面接は答えを考えておかない方がいいという人もいると思いますが、私の場合は考えておいてよかったと思います。民間を受けていないため、民間で面接慣れしている人には負けるなあ、と思っていましたが、公務員を受ける人は民間を受けていなくて、面接はこれが初めて、という人が多いようでした。

     集団討論は特に対策をしないまま臨みましたが、これも対策(練習)をしていない、という人がほとんどなので、気にしないでよいと思います。討論時間は60分、テーマは少年犯罪について、でした。最初に参考資料として、統計や問題点をまとめたプリントを渡され、10分ほど各自で読み、その後1人1分ずつ意見を述べ、それから討論をスタートしました。小学校の時の学級会のような感じで、とても楽しかったです。それと、司会になるかならないか、ですが、私はならなくて正解だったと思います。司会者になると、自分の意見を自由に述べられなくなるからです。しかし、司会になった人の隣の席だったこともあって、なるべく司会者を補佐するようにしました。

  4. 合同説明会→官庁訪問・国家の2次試験(8月)
     国家2種の一次試験の合格発表(8月のあたま)後、すぐに官庁合同説明会が行われます。私は広島で3日、岡山で5日にあったうち岡山の方に参加したのですが、これは先にある方に参加した方がよかったなあ、と思いました。官庁訪問はわかりにくい点が多く(終了した今でもよくわからないところが多いです)、人より出遅れると非常に焦るのです。私も、合同説明会よりも前に訪問の予約をするべきなのか、終わってからでよいのか、など、迷って、友人に何度も電話して尋ねました。官庁訪問は地域によっても活動形態に差があるようで、私の受験した中国地方では、合同説明会が終わってからの予約で大丈夫でしたが、近畿や関東では活動開始が早いようです。

     そして、6日から26日までの間に11の官庁をまわりました。その間に、国家2種2次試験(面接)があります。これは、面接の直前に書く面接カードに沿って、質問されるというもので、県の面接にくらべると和やかムードで楽でした。しかし、別の日に受けた人は「とても厳しい面接官でいろいろ突っ込んで訊かれた」と言っていたので、面接官によるのかもしれません。

     官庁訪問では、こちらの質問によって次に呼んでもらえるかどうか決まるようです。が、これも一概には言えないようで、来た人は全員に最終面接の声をかける、というところや、訪問していない人にも電話をかける、というところもあるようです。官庁訪問の頃になるとたくさんの人と友達になると思いますので、情報交換をしましょう。官庁の方はせっかく時間を割いてくださるのですから、その時話題になっていることなどから、自分の本当に知りたいことをどんどん質問するとよいと思います。

     8月30日、県の最終合格発表があり、9月のはじめに国家2種の合格発表がありました。運良く両方受かっていましたので、最終面接に声をかけていただいた官庁に断りの電話をして、活動は終わりました。 

終わりに

 なるべく正確に書こうと思ったのですが、忘れていることが多く、曖昧な点が多くなってしまいました。試験や官庁訪問、面接については、早めに問い合わせをして、今年の正確な情報を仕入れてください。

 試験勉強も、官庁訪問も、大変だと思ってしまうと本当に大変になるので、あまり大変がらないで、なるべく楽しむ気持ちでやっていました。時間にゆとりは全くなかったのですが、気持ちは焦らないように、と思っていました。夏が近づけばいやでも気持ちは追い込まれていきますので、なるべく気楽に、気楽にやるのがよいのではないかと思います。 やるべき事は誰にも同じだけのしかかっているので、同じやるなら気持ちよく、楽しくやった方がよい、と思っています。

 みなさんのご健闘をお祈りしています。頑張りましょう。私も、頑張ります。


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