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きっかけは思わぬところに
〜ある普通の神戸大学生の就職活動日記〜

異文化コミュニケーション論 吉池 絢子


「どうやったらマスコミに就職できるんですか?」

 私がNHKに内定を頂いてから一番よく聞かれる質問です。でも、私にはこの質問にはっきりと答えることは、残念ながらできません。実際に一体なにが、どの程度評価されたのか自分でもよく分からないのが本音です。それに、就職活動は本当に千差万別だと思うし、自分で体験してみないとわからないこともたくさんあるような気がします。ここでは、私の経験だけをもとにした、一つの体験談だと思って気楽に読んでもらえたらいいと思います。それが、結果的になんらかの役に立つことになればいうことありません。

 私が本格的に就職活動をはじめたのは10月の半ばでした。それまでは、語学の勉強がてらヨーロッパを3ヶ月ほど旅行していました。帰って来て慌てて情報を集めはじめたのです。というのは、私は一番はじめにアナウンサー試験を受けようと考えていたからで、これは後で知ったのですが、アナウンサーを目指す人達は秋に行われる「アナウンサーになりたい人のためのセミナー」なるものに参加するらしく、この時点でそのセミナーの締め切りはとっくに過ぎていて既に遅れをとってしまっていたんですね。その後、11月から12月にかけて各放送局が募集要項の発表をはじめ、それには遅れまいと、毎日ホームページをチェックしていました。初めてエントリーシートを書いたのもこのころです。そのときは精一杯だったと思いますが、今それを読み返すとやはり中身が薄っぺらい感じがします。活動していくにつれてだんだんよくなっていきましたね。年が明けてすぐ、東京の民放の試験が始まりました。このころは、半分ながされる様に面接をこなしていました。あまり深く考え込まなかったです。まあまあいいところまで進んだ局もありましたが、自分でみても、私よりも魅力的な人はたくさんいましたし、さあ、どうぞ、しゃべってください、といわれることが私にはとても苦痛でその場にいるのが辛かったです。そこで、アナウンサーというのは私にはあまり向いていないんじゃないかと思うようになって、大阪の民放を受け終わって、アナウンサー試験を受けるのをやめました。本当にアナウンサーになりたい人達は、その後も全国の小さな放送局を受けてまわっていました。アナウンサー試験を受けたことは、他の人よりもはやくいろんな面接を受けることができたのと、一緒に受けた人達と話をすることでいろいろ考えさせられたので、とてもよかったと思っています。それに、ここで受けていたからNHKはアナウンサー以外で受けることができました。もしアナウンサーで受けていたら、確実に落ちたと思います。

 さて、いったい私はなにがしたいのだろうと、とりあえず少しでも興味のありそうな企業にはインターネット上でエントリーをしながら考えました。ある本のなかに、何でもいいから今の夢、やりたいことを書き出してみよ、という自己分析のやり方が載っていて、やってみると、なにか国際的なことがしたいんだろうなーということは分かりました。そこで、今後進むであろうアジア地域の情報化を担うことができるのではないかとSE(システムエンジニア)という職種を中心に活動を進めていきました。

 しかし、ここでもう一つ、やってみたい事業が現れました。大学で行われた企業説明会に行き、読売新聞社の説明を聞きながらパンフレットをぱらぱら見ていたときに、「事業部」という部署があることを知りました。そのなかの文化事業部がやっていたのが、展覧会の開催などの、まさに文化的な事業でした。その後、電車のつり広告や展覧会のポスターなどを注意深く見ていると確かにいろいろな新聞社や放送局が主催者になっていました。これは、とても面白そうだ!!と、SEと事業部の二本柱で活動することになりました。

 そのほかにも、3月から4月の終わりまでいろいろ興味を持てそうな企業はとりあえず受けてまわりました。あー、あかんかったー、と思ったところが結構とおってたり、一応お話はできたかな、と思ってたところから連絡がこなかったり、いったいどこがよくてどこが駄目だったのか誰も教えてくれないし、こう答えれば正解、ということもまったくないので、なかなか辛かったときもありました。ただ、面接でもなんでも、あまり格好をつけないで、自分が思ったことを言ってきたので、連絡がこなかったところは、きっと縁がなかったんだと思います。NHKの面接でも学生一人を相手にちゃんと話を聞いてくれる雰囲気だったので、自分が考えてきたことを話すことができたのでしょう。そうして、4月の終わりに内定を頂き、就職活動を終えました。

 これから就職活動をはじめようとする皆さんに私からできるアドバイスなんてあまりありませんが、私がやっていてよかったと思ったこと、やっておけばよかったと思ったことを最後にすこし挙げておきます。

 まず、ともに活動し、話し合うことのできる仲間を持つこと。私の場合はサークルでメーリングリストを作ってエントリーの情報や、活動状況を報告しあいました。そのほか、自分が感じたことや考えたことなんかも、このなかで語りました。みんなはどんなことを考えてるのか、不安なのは自分だけじゃないことが分かって精神的に楽になれました。

 できればいろいろな企業を受けてみる。エントリーシートや面接は、最初のころは、やればやるほどよくなっていきます。それに、日本の企業をただで見てまわれる機会なんて就職活動中しかないんじゃないかと。社会勉強も兼ねて。そのなかに、自分と縁のある企業が隠れているかもしれないです。

 時間があるうちに一度くらい自己分析してみる。これは、私はできませんでしたが、活動に入ってしまうと日々の忙しさにながされてしまいがちになるので、夏休みにでも考えてみれば、活動がスムーズにはじめられるのではないかと思います。自分のセールスポイントを見つけ、伸ばすことができるかもしれません。

 以上で、私の体験談を終えたいと思います。皆さんも、たくさん悩んで、いろんなことを考えて、卒業後の進路を見つけていってください。自分の進むべき道が見えたとき、ほんの少し大きくなれる気がします。がんばってください。


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