神戸人類学研究会(旧神戸大学社会人類学研究会)

神戸人類学研究会(旧神戸大学社会人類学研究会)は文化人類学コースとアジア・太平洋コースの合同で研究会を開催しています。

 

第79回研究会
2018年7月27日(金) 14:00~(13:30開場)
場所:神戸大学大学院国際文化学研究科 学術交流ルーム(E棟4階 E410)

発表者①
尤驍氏(神戸大学大学院国際文化学研究科博士後期課程)
タイトル
「『伝統の権威者』と『利他的な貢献者』――台湾原住民族ルカイの首長権威の再構築」

■発表要旨
台湾原住民族ルカイの社会は伝統的に首長制を有する。世襲の首長は経済、政治、宗教などの側面に権威を有していた。日本植民地支配以降、近代化の進展とともに、ルカイ社会は大きな変容を遂げた。首長の権威は行政組織やキリスト教会組織などに大いに取って代わられ、首長制の弱体化が容儀なくされてきた。 一方、現在、首長の権威は完全に消滅したわけではない。とりわけ、原住民族の伝統文化の復興と、観光産業の発展という新たな社会状況のなかで、首長制に関連する文化要素が取捨選択し利用され、首長の権威が再構築されている動きが見受けられる。 本発表は、近代化した社会状況のなかで、個々人の首長が日常実践において権威を再構築している状況に着目する。その上で、再構築を可能にする社会的要因と、再構築された首長権威の特徴を考察したい。

発表者②
:濱口徹氏(神戸大学大学院国際文化学研究科博士後期課程)
タイトル
「出稼ぎで稼いだその後――ドバイで働く専門職フィリピン人の場合」

■発表要旨
地球上では今、国境を跨いだ人の移動が活発に行われている。移動する人の目的は、短期・長期の旅行、民間企業駐在員・外交官の赴任、出稼ぎなど、自発的なものから、避難民、難民など非自発的なものまで様々である。  本発表では、その中でも、出稼ぎする人びとに焦点をあて、彼らが実践する出稼ぎで得た金の使い方について考える。 出稼ぎに出る者は、家族の生計の為、子女教育の為、自分自身の起業の為など、経済的な目的をもって越境する。そのためには、故地で借金をしてでも出稼ぎしようとする。 しかし、出稼ぎを続けていき、目的を成し遂げようとしながらも、決して経済的合理性にあった金の使い方をするわけではない。彼らの出稼ぎ先での金の使い方、休暇を故地で過ごす時に見せる金の使い方を中心に発表を行う。


過去の研究会

第一回(1994年)から2005年までの記録です。  
発表者の所属は発表当時のものです。

第1回(1994.5.27)
中野伸一氏(神戸大学)
 『ピエール・クラストル著『国家に抗する社会』を読む』

第2回(1994.7.1)
中谷哲弥氏(甲南大学)
 『インドの神と人-バクティをめぐる民衆ヒンドゥー教の一側面-』

第3回(1994.10.27)
山田泰子氏(神戸大学)
 『スペイン統治下のナショナリズム比較-フィリピンとキュ-バを中心に-』

第4回(1994.11.17)
金相圭氏(神戸大学)
 『『書院祭』と地域社会-韓国慶尚北道『尼陽書院』の事例』

第5回(1994.12.8)
谷口裕久氏(神戸大学)
 『難民としての雲南系漢人-タイ北部の事例から』

第6回(1995.5.26)
長坂格氏(神戸大学)
 『国際労働力移動への人類学的アプローチ 』

第7回(1995.7.13)
澁谷鎮明氏(神戸大学)
 『朝鮮半島の風水地理説-李王朝の自然地理学としての風水とその運用-』

第8回(1995.10.26)
田原範子氏(大阪市立大学)
 『コスモロジーとリアリティーガーナ・アサンテの事例より-』

第9回(1995.12.14)
長坂格氏(神戸大学)
 『誰が子供を大きくするのか?-フィリピン・イロコス地方の移住史と里子養育について-』

第10回(1996.5.31)
行木敬氏(総合研究大学院大学)
 『集団イメージ形成における『身体』と『歴史』の作用について-ニューギニア高地の「出自集団」を事例として-』

第11回(1996.6.13)
李仁子(京都大学)
 『移住者の墓にみるアイデンテティーの重層性-在日韓国・朝鮮人の墓をめぐって-』

第12回(1996.7.12)
李善愛氏(総合研究大学院大学)
 『移動生活をする海女と移動しない海女-韓国の蔚山と日本の対馬の事例をとおして-』

第13回(1996.11.15)
谷口裕久氏(京都文教大学)
 『儀礼・宗教をめぐる民俗論理の諸相-タイ北部モン(Hmong)族の事例から-』

第14回(1997.7.4)
白川千尋氏(国立民俗学博物館)
 『バヌアツ共和国・トンゴア島民のカバ飲み慣行-メラネシア国民文化論再考-』

第15回(1997.12.18)
中野伸一氏(神戸大学)
 『『プティン・ノミネション・フィ(Putin Nomination Fee)』-パプアニューギニアの選挙運動にみる政治文化の素描-』

第16回(1999.1.23)
河合利光氏(園田学園女子大学)
 『フィジーの出会いと結び-民俗概念としてのアイデンテティー』
長坂格氏(神戸大学)
 『国際労働力移動とアイデンティティ-フィリピン、イロカノ人の事例から-』

第17回(1999.5.13)
佐々木耕一氏(神戸大学)
 『メキシコ南東部の2村落における市場の差異に関する予備報告』

第18回(1999.6.24)
長坂格氏
 『トランスナショナルな家族的ネットワークについて-フィリピン、イロコスの事例から-』

第19回 (1999.11.25)
則竹賢氏
 『植民地統治下におけるミクロネシア社会の変容-ポーンペイ社会とヤップ社会の事例より-』

 第20回(2001.6.29)
中生勝美氏 (和光大学)
 『植民地人類学の可能性:戦前期「南洋群島」の研究』

第21回(2001.8.31)
中原聖乃氏 (神戸大学大学院総合人間科学研究科博士後期課程)
 『マーシャル諸島ロンゲラップ環礁における政治的ネットワーク』

第22回(2001.9.27)
吉本康子氏 (神戸大学大学院総合人間科学研究科博士後期課程)
 『チャム族バニ集団のラムワン儀礼について-ベトナム中南部の事例より-』

第23回 (2001.11.22) 
中井潤子氏 (神戸大学大学院総合人間科学研究科博士前期課程)
 『ビルマにおける南アジア系移民ーヒンドゥー寺院の事例から』

第24回(2001.12.7)
木曽恵子氏 (神戸大学大学院総合人間科学研究科博士前期課程)
 『タイ社会における移動の経験 ―東北地方からの出稼ぎとジェンダーをめぐる諸問題』
横田祥子氏 (神戸大学大学院総合人間科学研究科博士前期課程)
 『クヴァラン族の文化復権運動に関する人類学的研究 ―台湾における平埔族のエスニシティ再構築への希求』

第25回(2002.1.28)
倉田 誠氏 (神戸大学大学院総合人間科学研究科博士後期課程)
 『役割から自己へ、行為から自己へ:サモア研究から見た『パーソン論』』

 第26回 (2002.5.21)
岡田浩樹氏(甲子園大学)
 『イワシ教の試み-調査という認識の組み替えの問題について』

第27回 (2002.6.25)
則竹賢氏(大阪大学大学院人間科学研究科博士後期課程)
 『ヤップデ-における「伝統」の語りと実践』

第28回 (2002.7.5)
Myamyakhin氏 (神戸大学大学院人間科学研究科博士後期課程)
 『ジェンダーの視点からみたビルマ族の社会構造』

第29回(2002.8.21)
土佐桂子氏(神戸大学)
 『ミャンマーの「仏教布教」をめぐる人類学的考察―政治・エスニシティ・「個人」』

第30回(2002.10.29)
小河久志氏(神戸大学大学院総合人間科学研究科博士前期課程)
 『南タイ・モスリム漁村における「イスラーム復興」と「開発」』

第31回(2002.11.5)
福井栄二郎氏(神戸大学大学院人間科学研究科博士後期課程)
 『帰国報告会:ヴァヌアツ・アネイチュム島の土地所有と「道の子」』

第32回(2002.12.9)
中井潤子氏(神戸大学)
 『ビルマのヒンドゥー移民社会における実業家の役割と「権威」』

第33回(2003.1.31)
横田祥子氏(東京都立大学大学院)
 『大きな物語と小さな物語が交差するところ―台湾・漢族のルーツ探し―』

第34回(2003.3.14)
石森大知氏(神戸大学総合人間科学研究科・博士課程)
 『ソロモン諸島における「新しいキリスト教」-クリスチャン・フェローシップ教会の歴史的背景と信仰活動』

 第35回(2003.4.17)
吉岡政徳氏 (神戸大学国際文化学部教授)
  『太平洋における新しい宗教 -バハイ信教を中心として』

第36回(2003.5.22)
紙村徹氏 (神戸市看護大学助教授)
  『キスボン神父殺害伝承の真相  -パプアニューギニア東セピック州カニンガラ神話集から-』

第37回(2003.6.27)
行木敬氏 (国立民族学博物館 外来研究員)
  『ニューギニア高地、オクサプミンにおける工業製品の呪力』

第38回(2003.7.31)
倉田 誠氏 (神戸大学総合人間科学研究科後期博士課程)
『世界の自然さと異常の処理 -サモアにおいて「病む」ということ-』

第39回(2003.11.5)
吉本康子氏 (神戸大学総合人間科学研究科・博士課程)
  『チャム族バニの村落における織物生産 -ベトナム中南部の事例より』

 第40回(2003.12.19)
河合洋尚氏 (東京都立大学社会科学研究科社会人類学専攻博士課程)
  『空間・場所・建築環境 (built environment) -植民地期香港の都市計画と風水をめぐる歴史人類学的考察-』

 第41回(2004.2.20)
山口隆子氏 (神戸大学総合人間科学研究科博士前期課程)
『ホームステイにおける異文化のまなざし -1956~1958 金沢の事例から-』

 第42回(2004.5.12)
村田晶子氏 (総合研究大学院大学文化科学研究科・博士課程)
 『移民社会にみる「我々」意識 -フィジーのインド系社会の事例をてがかりにして-』

第43回(2004.6.28)
田村うらら氏 (京都大学人間・環境学研究科・博士後期課程)
 『都市定期市における売り手=買い手関係 -トルコ共和国イズミルの事例より-』

第44回(2004.11.25)
金 永基氏(神戸大学大学院文化学研究科社会学専攻 博士課程)
 『中国朝鮮族の韓国社会への流入・適 応と韓国社会の対応に関する研究』

 第45回(2005.4.20)
安 成浩氏(神戸大学 総合人間科学研究科 人間文化科学専攻 近現代社会形成論 博士後期課程)
 『中国朝鮮族の移住と定着 ―― 1940年代後半と1990年代以降の比較研究』

 第46回(2005.6.28)
小西賢吾氏 (京都大学大学院 人間・環境学研究科 共生文明学専攻 文化人類学分野 博士後期課程)
 『祭りが維持されるメカニズム ‐ 秋田県角館町、曳山の激突をめぐる考察から‐ 』

第47回(2005.7.5)
黒木紗 緒里氏(神戸大学 総合人間科学研究科 人間文化科学専攻 国際相関文化論 博士後期課程)
『ブラジル北東部の「真心ある人種主義」? ―「混血の国」におけるカーニヴァルと黒人運動―』
久保忠行氏(神戸大学 総合人間科学研究科 コミュニケーション学科異文化コミュニケーション論博士前期課程)
『カレンニー難民とは誰か』

第74回(2017.5.12)
福井栄二郎氏(島根大学)
『オリエンタリズムの亡霊と比較の可能性―多配列分類を手がかりとして』
浜田明範氏(関西大学)
『「存在論的転回」とエスノグラフィー』

第75回(2017.5.12)
木村彩音氏(神戸大学大学院国際文化学研究科)
『先住民支援に再構築される家族-オーストラリア・アボリジニの「盗まれた世代」の事例から』
宮本佳和氏(神戸大学大学院国際文化学研究科)
『禁忌が示す象徴的境界―ナミビア北西部の牧畜民ヒンバとヘレロの土地認識―』

第77回(2018.5.22)
川崎瑞穂氏(神戸大学・日本学術振興会特別研究員PD)
「鶴舞と鷺舞―構造人類学的スケッチ」

第78回(2018.5.22)
長島信弘氏(一橋大学名誉教授・中部大学名誉教授)
「反理論のすすめ―人類社会のより深い理解を求めて」

last updated: 2018.07.22