平成15年度 国際文化学部研究・教育プロジェクト
「近代を超えるもの−欧米近代の周縁から−」(2004.8.26 更新)
プロジェクト代表
横山 良(アメリカ文化論)
プロジェクト構成員
石川 達夫(ヨーロッパ文化論)
石塚 裕子(ヨーロッパ文化論)
坂本 千代(コミュニケーション論)
笹江 修(ヨーロッパ文化論)
谷本 愼介(文化システム論)
西谷 拓哉(アメリカ文化論)
安岡 正晴 (アメリカ文化論)
プロジェクトの目的
20世紀後半は近代の超克が叫ばれた時期であった。その趣旨は、国民国家のもとでの人権、民主主義など普遍的価値の実体化の努力、生産性や合理化の追求といった過程が、結果的には、国家による個人の抹殺、労働疎外、人種主義、植民地主義、帝国主義など負の遺産を残したことへの反省にあった。
ここから、このような近代発祥の地とされるヨーロッパやアメリカのありようとその歴史への厳しい再点検の目がそそがれるようになった。それとともに、このような近代を生まなかった、あるいはそのような近代の客体となった、アジア、アフリカ、中南米のようないわゆる「第3世界」=非欧米世界の持つ可能性に注目が集まった。たしかに、このような非欧米世界のはらむ可能性は大きいが、他方でこの世界に往々にして見られる民族紛争・抗争やそれにまつわる国家的・地域的混沌は、反面の問題を露呈しているともいえる。
この時にあって、今むしろ欧米的近代のはらむ今一つの可能性が注目を浴びようとしている。それは、欧米近代の主流となった生産・生活様式や価値観ではなく、欧米近代の確立の過程で、欧米の中にありながら、周縁的なものとして排除され、片隅に追いやられた生き方や世界観であった。進行する現代のグローバリズムを批判的かつ建設的に捉える視座の可能性がそこにはある。
本プロジェクトは、近現代欧米を研究対象とする8名の研究者が、このような視点から各々の研究領域を再検討するものである。
プロジェクトの活動記録(研究会の日程)
第1回研究会(2003年9月29日 午後4時〜) 会場 E408(国際文化学部E棟4F)
1.西谷拓哉「1920年代のメルヴィル・リバイバル再考」(PDF文書)
2.石塚裕子「英国海軍強制徴兵制度について−ナポレオン戦争とクリミア戦争の間−」
第2回研究会(2003年11月27日 午後5時半〜) 会場 E408(国際文化学部E棟4F)
1.横山良「グリーンバッキズムの歴史的意義―アメリカの民衆と貨幣―」(PDF文書)
2.安岡正晴「アメリカ諸州の政治文化と政策―比較分析の試み―」(PDF文書)
第3回研究会(2004年2月9日 午後3時〜) 会場 E408(国際文化学部E棟4F)
1.石川達夫 「ロボットとは何か?−チャペックにおける近代的人間の極限態」
2.谷本愼介「西洋近代における『文化危機』の自覚と、その克服の道−オイゲン・ヘリゲルを中心に−」(PDF文書)
第4回研究会(2004年3月25日 午後1時〜) 会場 E408(国際文化学部E棟4F)
1.坂本千代「ダニエル・ステルン『1848年革命史』に現れる民衆」(PDF文書)
2.笹江修「近代を超える恐怖−コンラッドとロレンスに見る−」