大学院文化学研究科
西洋現代国際社会史(前期) 火曜二時限
教室 国際文化学部A棟307
安岡 正晴
近年、アメリカでは、American Political Developmentと呼ばれる新たな研究分野が台頭し、歴史学や政治学、新制度論、歴史社会学等の知見を総動員して、政治生活における歴史的連続性と変容を分析するのが盛んになっている。本講義・演習においては、そうした学際的な立場から、欧米諸国における近代デモクラシーの制度的発展と市民生活の変容について、研究動向の検討や実際にデータや判例分析を行なって、理論的・実証的視座の形成を目指してゆきたい。
平成14年度の前期講義では、Shafer, Byron E.
and Anthony J. Badger. eds. 2001. Contesting Democracy: Substance and Structure
in American Political History 1775-2000. Lawrence, KS: University Press of Kansas.を輪読し、建国期から今日に至るまでのアメリカ政治の制度的発展と構造変容を具体的かつ理論的に検討してゆきたい。本書の編著者である、Byron
E. Shafer は、オックスフォード大学のアメリカ政治論担当教授であり、Anthony
J. Badger はケンブリッジ大学のアメリカ史教授である。米英の一線の歴史・政治学者が多数寄稿している本書は、アメリカ政治の歴史的展開を検討するのに役立つばかりでなく、大西洋横断的(transatlantic)な研究視座を身につける意味でも有益だと考えられる。近年のAmerican
Political Development研究、New Political
History研究上の論点である、草の根の政治参加(grassroots
political participation)、 ジェンダー的観点から見た社会政策史、whiteness
studies、,アメリカの市民社会形成論、比較国家形成論(comparative
state building)、市民共和主義、分割政府(Divided
Government)、連邦―州―地方政府関係論など幅広いテーマをカバーしながら知識を深めてゆきたい。
後期の演習においては、受講生の関心により近い専門文献を選んで輪読し、必要に応じて、データ分析や史料・判例分析の指導を行なうとともに、個人研究報告の機会を設けて、活発な議論を行なっていくようにしたいと考えている。
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