キリスト者の「発見」をめぐる言説の検証
――近代移行期の「他」の読み替え――
代表者
- 南郷晃子(神戸大学国際文化学研究科・学術研究員)
分担者
- 浅井雅(神戸大学国際文化学研究科・協力研究員)
- 清川祥恵(神戸大学国際文化学研究科・協力研究員)
協力者
- パトリック・シュウェマー(武蔵大学人文学部・准教授)
- 井上舞 (神戸大学人文学研究科地域連携センター・特命助教)
プロジェクトの目的
日本のキリスト者をめぐる言説は、しばしば郷土史の「ロマン」や信仰者の「理想」の物語として取り扱われ、十分に学問的な考察が加えられてきたとは言い難い。本プロジェクトは、「ロマン」「理想」をも言説生成の運動と捉え、その背景および実態へのアプローチを行う。
宣教は非キリスト教地域にとってはコミュニティに宗教的他者が出現することであった。したがって「他者」の物語体系のうちで捉え直す必要があるが、近代日本のキリスト教との再会の時代―キリスト者の「再発見」の時代―と禁教下でその「他」は異なる意味を持つ。本プロジェクトでは近世期の言説を踏まえつつ、近代の宣教師の再布教活動および地域社会のキリスト教受容と、キリスト者をめぐる言説との相関関係を問う試みを行う。
従来の「キリシタン伝承」研究の枠組みの検証とともに、「他」なるキリスト者への逆転した「発見」の視線、そして「再発見」の視線が生成する言説を詳かにすることを目指す。