学術推進研究員出版物 
山田勅之著『雲南ナシ族政権の歴史―中華とチベットの狭間で』

山田勅之著『雲南ナシ族政権の歴史―中華とチベットの狭間で』 (東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所・歴史民俗叢書8) 慶友社、2011 年3 月
 (ISBN978-4-87449-175-1 C30330 7000 円+税)

写真1

中華とチベットの狭間・雲南麗江。現在、世界文化遺産に指定されているこの地に、かつて、一大勢力を誇ったナシ族政権が存在した。最盛期にはナシ族居住地域だけではなく、チベット人居住地域にもその支配は及んだ。その一方で、彼らは施主となってチベット仏教の発展に力を貸した。本書はこの知られざるナシ族首領の歴史的動態を、漢文史料だけではなく、チベット語史料をも駆使して立体的に再現するものである。中華王朝との関係だけではなく、チベット世界との交渉にも光を当てることで、これまでとは異なる非漢人政権の姿が浮かび上がってくるのである。 (山田勅之)