シンポジウム、セミナー等のご案内と報告
2011年度研究部プロジェクト「19世紀の科学と文化」主催
第1回研究会「魔女から天使へ―イタリアの女性と数学」
報告者:三浦伸夫教授(国際文化学研究科)
日時:2011年6月21日(火)13:00~15:00
場所:中会議室(A403/ 国際文化学部A棟4階)
入場:無料(参加自由)
チラシ
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概要
イタリアの女性数学者アニェージを中心に、18世紀後半の北イタリアの数学文化を見る。
主催・問合せ:異文化研究交流センター(IReC)
報告
2011年度のプロジェクト「19世紀の科学と文化」の第1回研究発表は、「魔女から天使へ-18世紀イタリアの女性と数学-」と題して三浦伸夫教授によって行われた。発表の主題はイタリアの女性数学者であるマリア・ガエターナ・アニェージについてである。
イタリアの科学者については、我が国では知る機会が非常に少なく、私たちが知っている名前は電圧の単位に名を残すヴォルタくらいと言っても良い。従って、イタリアの科学者であり、しかも女性の数学者であるアニェージについては知る機会が少な かったのも当然だろう。
彼女の数奇な生涯と数学についての業績が並行して三浦先生から紹介される。アニェージの生きた時代は、科学を愛好する法王ベネディクト14世の治世であった。宗 教と科学の複雑な関係が良好となった恵まれた時代だったため、アニェージの活躍は可能であったと言えるだろう。
数学の世界において「アニェージの魔女」という曲線にその名を残す彼女は(たと えそれが誤訳の結果だとしても)、数学の世界から退いた後には修道院に入り、その後の生涯を貧者の世話に捧げた。これが本発表の題名である「魔女から天使へ」とされた所以である。
しかし、アニェージをとりまいた恵まれた環境は長くは続かず、その後女性数学者の登場には長い時間を要したのであった。
三浦先生の発表は非常に興味深く、これを機会にイタリア科学に興味を持たれる方が増えることを期待したい。
当日は発達科学研究科と人文科学研究科からの参加された方を含め、16名の参加者があった。
(国際文化学研究科異文化交流研究センター 協力研究員 野村恒彦)