Histoire de ma vie

-Histoire de ma vie(1854-55年刊)『我が生涯の記』(水声社、2005年刊)

  1854年から55年にかけて出版されたサンドの自伝・回想録であるが、普通の「自伝」のようなものを期待して読むと肩すかしを食う。サンドは彼女の 曾祖父の時代からの家族の歴史を語り始めるのである。また、世人が注目したショパンとの関係なども、具体的ないきさつは何も書かれていない。ただ、この膨 大な作品はサンドの家族のみならず、18世紀から19世紀にかけての激動のヨーロッパに生きた人々の歴史(国王から小鳥屋まで)を物語り、同時にサンドの 芸術観(音楽、絵画、文学など)、歴史観、社会観、人生観などを生き生きした文体で展開する非常に興味深い読み物であるのは確かだ。

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