-Jeanne(1844年刊)『ジャンヌ』(藤原書店、2006年刊)
1844年にサンドの初めての新聞連載小説として発表された。前半はクルーズ地方のひなびた農村、後半はブッサク城を主な舞台としている。主人公は羊 飼いの娘ジャンヌ。彼女を取り巻く3人の青年たちを中心に、村の人々や城主一族とその友人たちが登場する。主人公ジャンヌには19世紀によみがえったジャ ンヌ・ダルクのイメージと大昔のガリア地方の女祭司のイメージが重ねられている。農民の娘を主人公にし、農民たちが大きな役割を演じるこの小説は、『魔の 沼』を第1作とするサンドの田園4部作のさきがけと見なすことができよう。