赤く染まるヴェネツィア ー サンドとミュッセの愛

『赤く染まるヴェネツィア ー サンドとミュッセの愛』ベルナデット・ショヴロン、持田明子訳(藤原書店、2000年刊)

  ロマン派の若い詩人でダンディな青年ミュッセとサンドは1833年に出版社主催の晩餐会で出会う。彼らは意気投合し、すぐに恋愛関係となり、やがてふ たりはロマン主義者のあこがれの地イタリアへと出かけていく。旅の途中でまずサンドが病気にかかってふたりの間に暗雲がたちこめはじめ、ヴェネツィアに着 くとミュッセが病に倒れる。恋がさめかけていたサンドは美男のイタリア人医師パジェッロに心を移し、ミュッセはひとり帰国する。その後サンドはパジェッロ とともにパリに帰るが、彼との恋もさめてしまい、傷心のイタリア人はヴェネツィアに戻っていく。サンドとミュッセはまた愛しあうようになるが、それもつか のまであった... ふたりの文学者のこのあまりにも有名な恋のいきさつを、彼らの手紙、サンドの日記、紀行文、自伝、さらにまたミュッセの作品やパ ジェッロの日記などを駆使して詳細に描いている。著者はグルノーブル大学教授でサンドの研究者、他にもサンド関係の著作を発表している。(文責 坂本千 代)

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