『ジョルジュ・サンド』マリー=ルイーズ・ボンシルヴァン・フォンタナ、持田明子訳(リブロポート、1981年刊)
サンドの生涯を主に彼女の残した書簡を用いてあとづけているため、彼女が有名になる前までの部分はわりあい短くなっている。サンドとミュッセやショパ ンとの恋愛、友人や家族との関係は詳しくたどられているが、二月革命とのかかわりなどは少ししか触れられていない。なお、著者は本書の初めに次のように書 いている。「彼女(サンド)の中に見られた様々な対立や葛藤は、肉体的にも精神的にも女性でありながら、その頭脳がきわだって男性的な明晰さを示したこと にその原因が求められよう。(...)一通一通の手紙が真に生きた時間を再現する。時には、自分に都合のよいように事実を曲げてもいるが、これも醜くは あっても無理もない、彼女のいかにも女性的な一面を物語るものである。」(文責 坂本千代)