『情焔の作家ジョルジュ・サンド』近藤等(用力社、1948年刊)
目次
一 誕生、少女時代
二 カジミール・デュドゥヴアンとの結婚
三 ピレネへの旅、オーレリアンとのプラトニック・ラヴ
四 ノアンの恋愛遊戯
五 ジュール・サンドウ、パリーの生活、文壇への第一歩、ジョルジュサンドのペンネームをとる
六 マリー・ドルヴァルとの同性愛
七 聴聞僧サント・ブーヴ、メリメとの恋愛に失敗
八 世紀児ミュッセとの恋
九 ヴェニスの恋人たち、破局
十 心の痛手
十一 シャモニイへの旅、フランツ・リスト
十二 ショパンとの恋愛
十三 マジョルカへの旅
十四 若き日の恋人を婿にむかふ
十五 フロオベエルとの友情、晩年、死
わが国最初のジョルシュ・サンドの伝記。表紙はミュッセの筆による「扇」を手にしたサンド像の模写。
背景は淡いアヅキ色、青いドレス姿で振り向いたサンドが妖艶。(装幀は池澤蝋)。「26歳ごろのオーロ
ール(ブレーズ作)」の肖像画一枚を含む。著者については不詳。あとがきに「略年譜は数江譲次氏の好意
による」とある。略年譜は2ページにわたっている。アンドレ・モロワの『ジョルジュ・サンド』より前に書かれたサンドの恋愛を中心とした伝記。メリメとの
「馬鹿げきった失策」についてはモロワより詳しい。最終章、「しかし老けた六十歳のレリヤは、もはや真のレリヤではなかった。彼女のうちに燃えていた熱情
は遂に消えてしまった。彼女の恋愛生活は終わった。五十年の間、彼女の心を咬んでいた情欲の悪魔が去った今となって、彼女は自分が清浄になり、高い友情を
結ぶことも出来るように思えるのだった。」一貫してサンドを魔性の女として捕らえている。(文責 平井知香子)