待ち合わせ

 大阪に来たばかりのドイツ人女性と8歳のお嬢ちゃんを先日神戸に招待しました。彼女とはメールを何度か取り交わしていましたが、一度も会ったことがありません。ふたりは英語は達者ですが、日本語はまだ片言だとのこと。彼女たちの住まいのある町から神戸まで1時間ちょっとです。JR神戸駅の大きい方の改札口で2時に会うことにしました。初対面なので、私の年齢や髪形をメールで知らせ、駅近くにある私の自宅の電話番号(私は携帯電話を持たない主義なので)も知らせました。彼女たちも年齢、髪の色、携帯電話の番号などを知らせてきました。
 約束の日の2時ちょっと前に改札口に行きましたが、待っても待ってもそれらしき親子は現れません。先方の携帯に電話するため、ちょっと離れた所にある公衆電話ボックスに行こうと考えたのですが、私がその場にいないうちに彼女たちが改札口から出て来て行き違いになると困る(なにしろ顔を知らないので)と思うとその場をなかなか離れられません。でも、ついに2時半になってしまったので、公衆電話ボックスに走っていって電話しました。彼女たちはなんと阪急三宮駅を神戸駅だと思っておりていたのでした。三宮駅は出口がたくさんあってとても複雑なので探し出すのは難しいと考えた私は、タクシーでJR神戸駅にくるように言って、来方を説明している最中に突如相手の携帯電話が切れました。かけ直しても「電波の届かないところにいるか、電源が入っていない」というアナウンスのみで、10円玉と100円玉がみるみるうちになくなります。困った私はもう一度電話するために、駅から7分ほどの自宅まで走りました。でも、自宅の電話から何回かけても向こうの携帯電話とつながりません。相手からの電話を待ちましたが、3時近くになってもかかってきません。彼女たちが果たしてうまくタクシーに乗れるのか、JR神戸駅の大きい方の改札口がわかるのか、とても心配です。でも、家で待ってもしかたがないと再び神戸駅へ。きょろきょろしながら改札口のほうに向かうと、切符売り場付近でほとんど床に座り込むようにしている中年の外国人女性と途方に暮れた様子の女の子が目に入りました。もちろん私は大きな声で名前を呼びながらふたりに駆け寄り、まるで生き別れ家族の再会のようにひしと抱き合って会えたことを喜んだのでした。
 あとで尋ねると、彼女たちは「神戸三宮」という駅と「神戸」という駅が別のものだとは思わなかったそうです。また、私とちょうど通話している時に携帯電話(まだ使い慣れていない)の電池が切れ、公衆電話は近くになかったようです。結局、予定より大幅に遅れはしましたが、港巡りの船に乗ったり大観覧車に乗ったりして、私たちは神戸ハーバーランドを楽しみました。いちおう「終わり良ければすべて良し」なのですが、やっぱり私も携帯電話を持つべきでしょうか。

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