快楽の代償

 本当にひさしぶりに、食事の時間を忘れるほど熱中して一気に読んでしまいました。山岸凉子のまんが『日出処(ひいづるところ)の天子』全11巻です。これは1980年から84年にかけて雑誌に連載されたのですが、私は切れ切れにしか読んだことがなく、今回初めて最初から最後まで通して読みました。厩戸王子(うまやどのおうじ、聖徳太子)と曽我毛人(そがのえみし)を主人公にしたこのまんがは83年度の講談社漫画賞(少女部門)を受賞した作品です。厩戸王子が超能力者だというのはともかくとして、彼と毛人の同性愛的絆を描いたことで右翼が騒いだり、「法隆寺から苦情が出た」(という新聞記事があったが、のちに記者による捏造であったことが発覚したとか)りして、結局かなり唐突な形で物語が終わっています。それでも、古代日本の宮廷の権力闘争、神道と仏教のせめぎあい、朝鮮半島や中国大陸との関係などスケールの大きな枠組みと、その異能のために孤立する王子やそれを取り巻く人々の物語は圧倒的な迫力です。昼食を取る間もおしんで夜まで読んだ私は、そのあとインターネットで、このまんがのモデルとなった人たち・事件の歴史的背景や、他の「聖徳太子」を主人公にしたまんがとの比較などを読み、気づいたら真夜中になっていました。
 翌日は悲惨なことに・・・。本とインターネットで目を酷使したため、首と肩と腰がひどくこってしまい、マッサージ師さんのお世話になってしまいました。もちろんこれは前日に予想できたことですが、どうしても途中で本やコンピュータから離れることができなかったのです。本やインターネットに夢中になるのも、度が過ぎると本当に体に悪いのだとつくづく思い知らされました。

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