服装について

 オリンピックの某選手の「服装の乱れ」が問題になりました。日本選手団の制服をだらしなく着ているということで非難されていましたね。ところで、中学・高 校生時代の私は制服というものが気に入っていて、大学生になった時には制服がないため毎日着るものに頭を悩ませなくてはならないのが、時間とお金のむだだ と思っていたものでした。ところが、今は随分違う考えを持っています。就職活動をする学生さんたちが皆申し合わせたように黒い「リクルートスーツ」を着て いるのを見ると、なんだか悲しくなってしまうのです。もうちょっと明るくて楽しい服装にできないだろうかと思ってしまいます。以下は、最近読んだスタール 夫人の文章です。

 文明の技術は、あらゆる人々を見かけも実際も均一化する。(・・・)人間たちは気取ったり、計算したりして互いに似せているだけだ。本来のもの は多彩なのである。だから衣裳が多彩であるのは、とにかく目にはちょっとした保養なのである。衣裳が様々あるということは、感じたり判断したりするのに新 規なやり方もあるということを感じさせてくれる。(『コリンナ』佐藤夏生訳)

 天才スタール夫人は美人ではありませんでしたが、その奇抜な(というか独創的な)ファッションで18世紀末から19世紀初頭の人々を驚かせたようです。

目次