誤植

 誤植というものに私が初めて気づいたのは昔々、小学生の頃でした。当時愛読していた手塚治虫の『りぼんの騎士』というまんがで主人公の恋人に対する呼びかけが「フラツンさま」になっていたのです。正しくはもちろん「フランツ」(フランツ・チャーミングという王子で、これはもちろんプリンス・チャーミングにひっかけたもの)です。それまで活字(つまり印刷されたもの)に間違いがあるなどとは想像したこともない素朴な活字崇拝者だった私には、まさに大きな衝撃でした。

 本など数限りない印刷物とともに成長した私は、徐々に誤植というものの存在に慣れました。自分の本にもいくつか(かなり?)見つけてしまったりもしました。でも、だからこそ、いろいろな印刷物の校正の時に念には念を入れているのですが・・・。このたび出した、さる報告書、ぎりぎりまでふたりの人間が目を通し、印刷所に回してからも2回も校正したのですが、やっぱり出てしまったのですね。それも同僚の先生の肩書欄です。外部の方の肩書は何度も調べて目をとおしていたのに、身近な同僚の肩書の間違いに気付かなかったとは、情けないかぎりです。S先生、ごめんなさい。

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