交響曲的効果

 12人で一緒に作っている本が苦戦しています。全員の原稿はとっくにできているのですが、出版社の人の目から見ると、章ごとにばらばらで一貫性が足りないようで、書き直し部分が多く、なかなか先に進めません。「論文集」のようなものなら、他の人の書いた部分の内容や文体をあまり気にせずに自分のペースが貫けるのですが、共著本としてひとつのまとまりを持ち、かつ多くの読者に読んでもらえるものを作るのはたいへんなことだとしみじみ思います。自分が今まで読んだ本を振り返ってみても、著者が複数の場合で非常によくできた本は少なく、内容が章によって玉石混交状態のものになりがちでした。しかし、一人の著者では持てない広がりや深さを複数の人間が交響曲的に構築することも可能ではないかと期待しています。ここしばらくが正念場で、ぜひとも良い本を出したいものです。

目次