『200年目のジョルジュ・サンド 解釈の最先端と受容史』日本ジョルジュ・サンド学会編(稲田啓子、宇多直久、太田敦子、小倉和子、河合貞子、坂本千代、高岡尚子、新實五穂、西尾治子、平井知香子、村田京子、渡辺響子(新評論、2012年刊)
2012年はサンドの最初の邦訳(渡邊千冬訳『魔ヶ沼』1912)からちょうど100年という節目にあたる。日本ジョルジュ・サンド学会はこの機会に、過去の豊かな研究成果をふまえつつ独自の花を咲かせている日本のサンド研究の最先端を紹介するとともに、100年に及ぶ受容の歴史を俯瞰し、「サンドを読むことの現代性」を提示した。本書は「解釈の新しい視座」と「受容の歴史 ジョルジュ・サンドと日本」と題する二つのセクションから構成されている。第一のセクションはさらにジェンダー、芸術、自然という三つテーマに分かれ、サンドの作品世界を多角的に掘り下げている。翻訳史・研究史・伝記刊行史などを整理した第二のセクションでは、作品と作家の日本における受容の変遷が俯瞰できる。また巻末には邦訳作品解説や年表を付し、資料性を充実させている。