近況: 2008年6月:一覧

魔について

 友人との会話中にふと出てきた表現「中年の危機」、これのフランス語訳は普通「démon de midi」(直訳は「真昼の悪魔」)ですが、これを仏和辞典でひいてみると「中年を襲う性愛の誘惑(ディコ仏和辞典)」と出ていました。それはそれで正しいのですが、日本語表現の慎み深さと仏語表現の擬人化の対照的なおもしろさと比べると、辞書の解説はやはり味もそっけもないと思います。ちなみに「あれは魔がさしたのだ」というのはコンサイス和仏辞典によると「C'est une gaffe inintentionnelle.」、直訳すると「あれは意図的にやったのではないヘマだ」です。今度は仏語表現のほうに「魔」のイメージが出てきません。翻訳というのは難しいものです。

旅の楽しみ

 旅行をする前に旅行ガイドを買い、行くべきところを時間と相談しながら決め、予算を考えながら、あれがいいかこれがいいかと交通手段、飛行機や列車の到着時間を検討する。インターネットで国内や海外の列車時刻表やホテル情報を探しては、最適のものを選ぶ。私にとって、出張でもバカンスでも、一番おもしろく、夢中になるのはこの準備段階のようです。こういうことをやっていると時間がたつのを忘れることもしばしば。実際の旅行や出張は、体調が悪かったり、天気が最悪だったりと、予想をはるかに下回る楽しさ・快適さであることもしょっちゅうです。考えてみると、恋愛や結婚生活なども同じような気がします。まあ、それらは旅行ほどひんぱんにするものではないのでしょうが。

高校に行ってきました

 大学紹介企画の一環として、兵庫県内の県立高校に出張授業に行ってきました。「高校」に行くのは、本当に久しぶりでした。生徒全員が同じ制服を着て、大きな鞄を持ち、髪の毛もみんな黒、こういう雰囲気を長い間忘れていました。私が通った私立の進学校は校則がきびしく(男子はみな丸刈りでした)、礼儀正しくするよう常に言われたことを思い出しました。
 人間は楽なほうに染まっていくため、高校時代「校風の典型」と言われた私ではありますが、母校のモットーだった「質実剛健」は今となってはその片鱗もからだの中には残ってなさそうです。
 高校生の頃はちょっと窮屈でしたが、今になって思うと、外にいろいろ規制があるからこそたいていの人間は「自由」とか「独立」とか「自分らしさ」などについて真剣に考えるのではないでしょうか。最初からそういうものが揃っていて、それがあるのがあたりまえであったら、それらについて考えたり、あるいはそれらを手に入れるための努力をすることもないでしょう。「Easy come, easy go.」と言いますが、自分で苦労して手にいれたものでないと、気づかないうちになくしてしまったりすることもありそうです。
 同僚の村尾准教授に助けていただいて、ホームページの引っ越しと(ほんの少しですが)中身の構造も 変更しました。これからは自宅からも書き込めるためもっと頻繁に更新したいと思っています。
 6月は毎年、とても慌ただしく体調も不良です。7月になると元気になるのですが。夏生まれ(8月)のせいかもしれません。

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