近況: 2009年1月:一覧

職業病

 首と肩の凝りがひどく、昨日マッサージしてもらいにいきました。数年前までは肩凝りとは全く無縁の体だったのに、と情けなく思います。以前も多分同じくらいは凝っていたのでしょうが、若い時はそれを感じなかったのでしょう。凝りの原因は明らか、目の使い過ぎです。朝から晩まで机に向かって本、書類、コンピュータの画面を見ています。職場にいる時はそれでもまだ動くほうですが、自宅では寝る時以外ほとんどの時間を机の前で過ごしています。
 野球選手が肩を壊したり、力士が膝を痛めるのと同じ職業病です。昨年のオリンピックに出場できなかったマラソン選手の練習のやりすぎと同じです。私の分野の研究者の場合、本・文献を読むこと、机に向かって書くことは、研究の出発点であり到着点です。目に無理を強いているとよくわかっていても、止めることがなかなかできないのです。そのうえ、私の場合はほとんど唯一の娯楽も読書(もちろん研究用の本とは違う種類のもの)なのです。せめて音楽かスポーツであればまだ体のバランスが取れるのですが、こればかりはどうしようもありません。ただ、このまま自滅に向かって進んで行くのはあまりにも愚かです・・・。以前と同じくらいしか本を読んでいないのに目の負担が前より大きくなったのは、自分の体が「本を読むより、自分の頭でもっと考えろ。目より頭を使え。」という警告を発しているのだろうと思います。知識の摂取よりも、もっとその消化と精錬にエネルギーを使うべきなのでしょう。

ブーツ

 月末から1週間ほどフランスのとても寒い地方に行くことになりました。私は日本の南国育ちなので、寒いのは苦手でかなり不安です。手袋を買わなくてはいけないし、どこかにしまってある分厚い帽子も準備しなければなりません。防寒下着やホッカイロを買っていくようにと周りの人に勧められました。そんな中ある人が「ブーツもいるわね」と言ったのに衝撃を受けました。ブーツまでいるのか! この冬フランスは大雪が降るとかで、先日もパリのシャルル・ド・ゴール空港で飛行機が止まっていたっけ・・・。ブーツは要するに「長靴」ですから、泥や雪や水のせいで普通の靴では歩けない時に履くものであって、日本の暖かい地方の街中で履くようなものとは私は思いません。でも記憶の底を探ってみると、何かトラウマになるような出来事があったような・・・。
 30年近く前の留学生時代、リヨンで雪がかなり降りました。ふつうの靴では足元がびしょぬれになるので、生まれてはじめてブーツを買おうと思い、周りのフランス人の女の子たちが履いているようなおしゃれなものを探して靴屋にいきました。でも、ないのです、私の足に合うブーツが。私は日本人としては中肉中背、靴のサイズは22.5センチです。服や靴でそれまで不自由な思いをしたことがありませんでした。ところが、その靴屋さんで足の大きさにあわせたブーツを履こうとするとふくらはぎのところでつっかえてしまいます。ふくらはぎが入るものにすると足の裏の部分が大きすぎて歩きにくいのです。いくつか試してみましたが、おしゃれな革製のブーツは全部アウトで、最終的にはスエードで靴底がペッタンコの非常に地味なものしか買えませんでした。いわゆる白人のヨーロッパ人と日本人の自分の骨格の違いをその時しみじみ感じたものでした。それ以後、日本に帰ってから一度だけブーツを買ったことがありましたが、足がしめつけられる感じにどうしてもなじめず、あまり履くことなく処分してしまいました。
 フランスに行ってブーツを買わねばならないような状況にならないよう祈るばかりです。

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