近況: 2010年3月:一覧

一息の長さ

 夏に向けて少し体をひきしめようと、スポーツクラブのプールに行くことにしました。顔を出したカエルのような泳ぎ方(?)で25mくらいはなんとか泳げるのですが、それ以上はなかなか大変です。クロールは顔を水につけなくてはならないのでパスしています。そもそも水に頭をつけたり出したりの息継ぎが苦手なのです。リズムがうまくつかめません。
 泳ぐ時と同じように文章を書く時も、人によって、リズムというか、一気に書ける長さがあるようです。形式が決まっておらず、自分の好きなように書ける場合、私はだいたい600字くらいは楽に(一息でとは言えませんが)書けます。それ以上の長さになると構成を工夫しなくてはならなくなるので結構時間がかかります。論文のようなものは12000字(400字詰め原稿用紙30枚)くらいまでだと書きやすいのですが、それ以上長いのは苦戦します。非常に長い論文や本などを書く場合は、だいたい8000字から12000字くらいの長さのものを一つのユニットにして繋いでいくことになります。
 作家などで長大な作品を短期間に書き上げる人がいますが、いったいどういうふうにしたらそんなことができるのだろうといつも不思議に思ってしまいます。1000mを一気に泳ぐようなものなのかしら。それはともかくとして、私の方はスポーツクラブのインストラクターに教えてもらってもう少し長く泳げるようになりたいと考えています。(この文章は594字。10分で書きました。)

魚の夫婦生活

 「婚活」という言葉が若者に根付いてしまったような昨今ですが、去年9月に岩田勝哉先生(和歌山大学名誉教授)から伺った魚の話をなぜか思い出してしまいました。変わった生態を持つ何種類かの魚についてだったのですが、その中でも特に印象的だったのが、珊瑚礁に棲むカクレクマノミとダルマハゼの話です。
 ハタゴイソギンチャクに棲むカクレクマノミは一夫一婦のペアで繁殖します。卵からふ化した稚魚は海流に乗って遠くに運ばれながら成長して、住処となるハタゴイソギンチャクを見つけるわけですが、うまく雄雌のペアが出会えるとは限りません。そういう時は一方の雄が雌に性転換することになるのだとか。このようにどんな時でも繁殖できる仕組みになっています。また雌雄のペアが棲むイソギンチャクにやってきた稚魚は小さいままで、ペアの片方が欠けることがあれば、そこで新たな雌雄のペアができるのだそうです。
 ショウガサンゴの中に棲息するダルマハゼはというと、彼らも一夫一婦制であり、雄が卵の世話をするのです。この魚のすごい所は双方向の性転換ができることで、雄→雌→雄とか雌→雄→雌という変化が可能だそうです。性転換には1ヶ月ほどかかりその間には卵を産むことができません。それでも彼らのモットーは「遠くの異性よりも近くの同性」で、未熟体の時に体が大きいほうが雄になり、小さいほうが雌になってペアを形成します。でも、体を張って卵を守る役目の雄よりも、産むだけでいい雌の方が大きくなり、そうすると今度は夫と妻の両方の性転換が起こり、役割が変わるのだそうです。夫婦で理想的な育児分担を行う魚たちですね。それに比べて人間は・・・。

目次