ギリシャから帰ってきました。レスボス島での会議(テーマは「風刺と文学」)のチェアマンはやはり大変でした。なにしろ演壇に上がるまで誰が発表するのかわからなかったからです。あらかじめもらっていたプログラム通りには進行せず、総合司会(?)の人が渡してくれるメモに従って、スピーカーを紹介すればいいだけなのですが、それでもけっこうハードでした。
私の担当したセッションでは、まず最初にアルバニア人の女性がアルバニア語で話し、これにギリシャ語の訳がついたのですが、私にはさっぱり理解できませんでした。次の人はギリシャ人でギリシャ語。次の人はキプロス人でギリシャ語でしたが、英語のレジュメが配られたので、何の話をしているかはわかりました。その次はロシア人の女性。彼女はフランス語でスピーチしたので、これは理解できました。ところが次の発表者(女性)はイタリア人でイタリア語、そしてかなり長かったのです。やっと話が終わったと思うと、聴衆の誰かがイタリア語で質問し、それに対する答がえんえんと続きました。よっぽど途中で遮ろうかと思ったのですが、彼女の話のあまりの迫力(意味はわかりませんでしたが)に圧倒されてそのままにしてしまいました。こんな調子で約3時間、スピーカーは7人でしたが、通訳がついたりつかなかったりでした。
翌日のセッションでは一時壇上で3人がかわるがわるしゃべっていたのですが、聴衆のひとりである私には何が何やらさっぱりわかりませんでした。(後で聞くと、スピーカーはアルバニア語で話し、それをロシア語とギリシャ語に訳していたのだそうです。)ちなみに、私自身の発表(フランス語)は前日の司会の仕事に比べるとずいぶん気楽でした。ただ、会場の半分くらいの人はフランス語が理解できなかったのではないかと思います。これらの全発表はギリシャ語に訳されて論文集にするのだそうです。(でも、ギリシャ語の読めない私には結局最後まで理解できない発表が多く残るわけですが。)
そんなこんなでとにかく疲れる会議でした。いまどきここまで英語を排除した国際会議というのはめずらしいのではないかしら。でも、会議のあとは真っ青な地中海で泳ぐこともできて、なかなか楽しく貴重な経験をしてきました。