近況: 2010年12月:一覧

クリスマスイブ

 今日はクリスマスイブですが、朝から晩まで忙しくしていて、普通の日とほとんど変わらない1日でした。2年ほど前まではホームパーティをやったり、レストランのクリスマス・ディナーに行ったりしていたのですけれど。私はキリスト教徒ではないのですが、小さい頃からサンタクロースとそのプレゼントを楽しみにする子どもだったので、おとなになってもクリスマス(というよりはクリスマスイブのほう)はとても大切な日だったのです。でも、いろいろな理由でだんだんクリスマスの楽しみが消えていき、去年はなんと12月24日の朝方発熱して新型インフルエンザと診断され、クリスマスもお正月もない冬休みでした。それと比べると今年はずっとましです・・・。

 外国の非キリスト教徒にとってもクリスマスは楽しみなのだろうかと考えた時、最近読んだフランスのドキュメンタリー本を思い出しました。著者はフランス人の若い女性で、20歳の頃、イスラームに改宗します。同じような経歴を持つ男性と結婚して子どもが生まれるのですが、イスラームの世界に心酔する夫とは対照的に、彼女はだんだん自分たちの結婚生活と信仰に疑問をもつようになってくるのです。子どもたちは普通の小学校に通っていて、当然のようにサンタクロースとそのプレゼントを楽しみにしています。イスラーム教徒となった彼女はもはやクリスマスを祝わないのですが、子どもたちがあまりに期待にみちた顔をするので、サンタの存在を信じるのを容認してしまいます。その時に、彼女は自分がどっちつかずであること、もはやキリスト教徒でもなく、芯からのイスラム教徒でもないことを痛感するのです。結局彼女は夫と離婚し、信仰も捨ててしまいます。宗教に関する自分の迷いを彼女に自覚させたのは、クリスマスとそれに結びついたかずかずの思い出だったのです。

 この本のように深刻な話でなくても、小さいころからの習慣、それも何か楽しいことと結びついている習慣から離れていくのはさびしいことです。初もうで、夏祭り、花火、すいかわりといったものとも近年はご無沙汰です。来年はだれか仲間をみつけてぜひもう一度、と考えてしまいました。

シンディ

 12月は忘年会などでお酒を飲む機会が多いのですが、年齢のせいか以前と比べて二日酔いしやすくなってしまいました。このごろ時々思い出すのは、アメリカに留学していた時の学生寮のルームメイトだったシンディのことです。大学院生として留学した私より、アメリカ人の彼女は7つも年下でしたが、背丈も体つきも私よりずっと大きく、そのうえ7人きょうだいの長女として小さな弟妹の世話をしなれていたせいか、ひよわな日本人ルームメイトの面倒をせっせとみてくれたのです。彼女はとても敬虔なクリスチャンで、毎日曜日には教会に行き、毎朝6時に起きて1時間は必ず聖書を読むといったタイプの女の子でした。

 もちろんシンディ自身はお酒もたばこも口にしないのですが、他人に対して同じことを強要するようなことはありませんでした。私はタバコは吸いませんが、お酒はけっこう好きです。留学していたころは、言いたいことがあっても英語でうまく言えないストレスを発散させるため、時々日本人仲間で飲みに出かけて夜遅く帰ってきていました。そんなある日、私がシンディに「お酒を飲んでいる時はとても良い気持ちなんだけど、でもそのあとベッドに入ると必ずすごくのどが渇いて目が覚める」と言ったことがありました。そして、その晩も遅くまで飲んで部屋に戻ってきたのです。もちろん、早寝早起きのわがルームメイトはとっくに眠っていましたが、私のベッドわきの電気スタンドがついていて、そこには冷たい水の入ったコップが置いてありました。酔っ払いの私が彼女の心遣いに泣いて感動したのは言うまでもありません。

 帰国後もしばらくはシンディと手紙を交換したりしていたのですが、時の流れとともにいつしか音信が途絶えてしまいました。それでも、飲み会のあと、のどの渇きで夜中に目を覚ますと、彼女の穏やかで優しい笑顔が目に浮かびます。

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