ヨーロッパにおける多民族共存とEU
活動状況
      
  • 2月8日(火)研究セミナー「現代フランスにおける多文化共存の実情」(講師:坂本千代、松井真之介)。 [チラシ
  • 12月22日(水)研究会「ミランダ語と映画『日本からミランダの大地へ』—フィールドワーカーがインフォーマントに映像として料理される位相」(講師:寺尾智史、ポルトガル映画『日本からミランダの大地へ』主演)。[チラシ]
  • 2010年10月9日(金)研究セミナー「少数言語の言語政策 − オクシタン語、カルカッソンヌのデモ行進から」(講師:佐野直子)、「EUにおける少数言語保全と『人の移動の自由』原則」(講師:寺尾智史)[チラシ当日の様子]
  • 2010年9月30日(金)公開セミナー(メディア文化研究センターとの共催)「異邦人からのまなざし − アドルノのアメリカ経験と文化産業論をめぐって」(講師:エバーハルト・オルトラント)[チラシ]
  • 2010年7月26日(月)研究セミナー「EUにおける少数言語保護政策 − 東方拡大とその後」(講師:坂井一成)[チラシ]
プロジェクトの内訳
2010年度 研究部プロジェクト
代表者
坂本千代(地域文化論講座)
分担者

三浦伸夫 (異文化コミュニケーション論講座)
石川達夫(地域文化論講座)
藤野一夫 (現代文化論講座)
岩本和子 (現代文化論講座)
坂井一成 (異文化コミュニケーション論講座)
寺尾智史 (地域文化論講座)
松井真之介 (異文化研究交流センター 協力研究員)
秦美香子(神戸大学学術推進研究員)

経費の出所
異文化研究交流センター プロジェクト経費
概要
(1) プロジェクトの目的と必要性
 今年度の目的は原則的に過去の2年間のプロジェクト(代表:石川達夫)「多言語・多民族共存と文化的多様性の維持に関する国際的・歴史的比較研究」「ヨーロッパにおける多民族共存とEU – 多民族共存への多視点的・メタ視点的アプローチ」を引き継いでそれをさらに発展させることを目的とする。長い歴史において多民族が葛藤と融和を繰りかえしてきたヨーロッパ内で、現在の世界に大きな影響力を持つEUとそれ以外の地域を研究対象とすることは昨年と同じであるが、今年は特に多民族共存の理念の問題及びその現実(言語・文化政策など)、そして文学をはじめとする芸術分野でのその表象を考察することにしたい。
 本プロジェクトの必要性についてはここ2年来主張してきたものであるが、今回もあらためて述べておく。多民族共存の問題をめぐって今日特に重要な課題として浮上しているのは、異なる民族が同じ場所に共存してはいても、必ずしも十分な相互理解はしておらず、そのために互いの主張・立場・視点がうまくかみあわないため、十分な相互理解に基づいた平和的な共生の条件が整っていないこと、そのためひとたびテロや経済危機などがおこると、昨日までの隣人がとたんに不気味で異質な異邦人と化してしまい、そこに思いもかけない民族的軋轢や衝突が発生するという問題である。このような問題に関して、「多民族共存」という理念そのものの成立の歴史的経緯、およびその理念が適用された現実(これは今までその詳細が必ずしも我々にとっては明らかでなかった)、またその現実がいかに解釈され構成されて芸術作品などに表象されているかを研究することは、総合的・包括的な提言あるいはローカルで具体的な提言を探求することと同じくらい必要であると信じるものである。
(2) プロジェクトの活動計画
 今年度の活動も過去2年間を引き継ぐものであり、各メンバーが以下の活動を進めることとする。
  • ヨーロッパにおける実際の多民族共存の場とそこで生じてきた問題について、通時的あるいは共時的に分析・考察する。
  •  
  • EU、ヨーロッパ各国、国連などが、多民族共存、マイノリティと少数言語保護等のためにいかなる理念を掲げ、いかなる政策を実施してきたかを分析・考察する。
  • ヨーロッパにおける多民族共存あるいは多文化共存が芸術作品や文化活動においていかに解釈され表象されてきたかについて分析・考察する。
  • 以上の課題をめぐり、外部から研究者を招いて講演会、公開セミナー、研究会などを開催する。
  • 最終的なまとめとして、本プロジェクトメンバーの研究成果と、講演会、公開セミナー、研究会などの成果を研究報告書にまとめて、本ホームページ上で公開する。
  • (3) これまでのおもな関連業績
  • 石川達夫『チェコ民族再生運動──多様性の擁護、あるいは小民族の存在論』(岩波書店、2009年)
  • 坂井一成『ヨーロッパの民族対立と共生』(芦書房、2008年)
  • 岩本和子『周縁の文学——ベルギーのフランス語文学にみるナショナリズムの変遷』(松籟社、2007年)
  • 藤野一夫「文化多様性」をめぐるポリティクスとアポリア──マイノリティの文化権と文化多様性条約の背景」『文化経済学』第22号、2007年3月、文化経済学会、pp.7-14.
  • 三浦伸夫「科学伝搬における覇権言語の興亡」、木村護郎クリストフ・渡辺克義編『媒介言語論を学ぶ人のために』、世界思想社、2009年6月刊所収。
  • 寺尾智史「言語観の日欧比較文明論——"言語外言語"視座から見た"言語内言語"の可能性」『比較文明』(比較文明学会、査読付き)23号、2007年、pp.205−222.
  • 松井真之介「オスマン帝国の1915年アルメニア人ジェノサイドにおけるフランス国家の認知問題──EU、トルコ、フランス」神戸大学大学院国際文化学研究科 異文化研究交流センター 研究部2009年度プロジェクト報告書『ヨーロッパにおける多民族共存――多民族共存への多視点的・メタ視点的アプローチ』、2010年、pp.41-60.
    「フランスのアルメニア学校の建設と運営」『フランス教育学会紀要』(フランス教育学会、査読付き)第21号、2009年、pp.79-93.
  • 連絡先
    坂本千代研究室
    住所 〒657-8501
    神戸市灘区鶴甲1-2-1 神戸大学国際文化学研究科 (E 215号室)
    TEL/FAX 078-803-7425
    E-mail csakamot*kobe-u.ac.jp
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