国際文化学部で身につく21世紀を生きる力


 国際文化学部の「学部案内」をパラパラとめくっていると、この学部ではいろんなことが勉強できるんだなぁと思う人もいるでしょうね。たしかに、一つの学部のなかで、じつに様々な分野の授業が提供されています。
 でも、もしかすると、これだけ多様な分野の沢山の授業内容があると、逆に専門性が身につかないのではないかと心配する人もいるかも知れません。

 しかし、心配は無用です。現代のようにあらゆるものが激しく変わり、その変化のスピードがすさまじい時代には、専門的な知識や情報といっても、2、3年ですぐ時代遅れになってしまいます。今、求められるのは、そうした専門的知識を学生のときだけ頭に詰めこむだけではなく、生涯にわたって自分から学ぼうとする力やものの考え方をしっかり身につけることなのです。

これまで2000年、2003年の2回にわたるOECDの国際学力調査で、2回とも世界一に輝いたフィンランドの教育方針は、まさに以上のような考え方に基づいています。フィンランドは何も学力世界一をめざして、そのような教育方針を打ち出したのではありません。10年以上も前から、21世紀に求められる人材や能力とは何かを考え、その結果、これから必要とされるのは、生涯にわたって自分から学ぶ力を身につけることだという結論を得たのです。言い換えれば、それは、問題や危機を自ら発見し、必要な情報を収集・分析し、論理的思考に裏付けられた自分なりの結論を導き出し、ディスカッションやプレゼンテーションなどのコミュニケーション能力を駆使して、他者と協力しながら問題解決に取り組む力だということもできます。

 国際文化学部では、まさにそうした学びのスタイル(継続的な自己学習能力)の獲得を重視しています。国際文化学部では、入学後すぐ全員必修の「基礎ゼミ」で、そういった能動的な学習能力の育成を図り、さらに教育のネライとして、異文化理解ないし分野横断思考というものをその核に据えています。
 国際化の進展にともない、あらゆる分野において、ますます多くの国や地域の文化を理解することが必要となってきました。また、高度情報社会の発展とともに、皮肉なことに、それぞれの個人が自分の関心だけに集中することも可能になり、日本国内においても相互に理解困難な多くの異文化が存在するようになってきました。価値観の多様化いっそう拡大する21世紀、そんな時代には、異なる文化を積極的に理解しようとする姿勢、そして幅広い視野、あるいはものごとに対する多様な見方、そのような能力やセンスがますます必要とされます。国際文化学部の学生たちは、4年間を通じてそういった能力を獲得して社会に出てゆくのです。

 国際文化学部の学生は、下級生のときは、なぜこんなに種類の異なる多くの授業を受けなければならないかと戸惑うこともあるようですが、でも上級生になると、以前は一見バラバラに思えた知識や情報が次第に自分のなかで繋がってきて、異なる分野を超えた関連を見出していきます。
 神戸大学国際文化学部のスクールモットー「国境を超える。文化を横断し活動する知性」は、まさに以上述べたような国際文化学部の教育方針を的確に表しています。

 最後に、国際文化学部OGの言葉を紹介しましょう。
「私が国際文化学部で学んだ中で最も有意義だったと思うのは、多角的な考え方を養えたことです。社会が多様化する中、経済や自然環境などの全ての問題を多角的かつ包括的に解決していく上で、それは非常に重要な役割を果たすでしょう。そして、その価値観や考え方を基盤として、常に新しい知識や情報に対して敏感であって頂きたいと思いますし、私自身も常にそうありたいと思っています。」
(2005.07.17)
                       神戸大学国際文化学部エクステンションセンター 内田正博