視野は広く、テーマは絞れ!


 4回生の卒論指導にたずさわっていて、よく学生に言うことがあります。それは、「視野は広く、テーマは狭く」ということです。
 好奇心旺盛な学生は、やってみたいことは沢山ある、だからテーマを決められないと言います。しかし論文を書くためには、たとえ400字原稿で50枚、100枚の論文でも、テーマは具体的なものに絞り込まなければならない。
 逆に、自分はこのテーマしか興味がない、だから他のことを知ったり調べたりする必要はないと考える人もいますが、そういう人の論文は幅広い視野や知識が背景にないので表面的で深みがありません。
 よく考えてみれば、そういうことは就職活動にもピッタリ当てはまります。内定を得た4回生の就活体験談を聞くと、ほとんどの先輩たちが、はじめから狭く業界や企業を決めつけないで、幅広くいろんな業界や企業を見たほうがよいと言います。
 たとえば、自分は旅行に関心があるから旅行会社だと思い込んで、まだ社会の仕組みや業界・企業の働き、あるいはその実際の仕事内容などもよく知らないうちから、旅行業界や特定の旅行会社だけに志望先を固めるのは非常に危険です。いったん自分の思い込みの束縛から離れて、世の中の動きや仕組み、そしてその中での企業や役所の役割、志望業界・企業の実際の仕事を虚心に見渡してみましょう。
 そうすれば、これまで自分が知らなかったり興味のなかった業種や企業が、意外に自分のやりたいことと近かったり、あるいは逆に、当初の志望業界が予想したものと違うということを発見することもあるのです。また企業以外の社会的な諸問題にも関心をもって下さい。
 視野を広げる方法はいろいろあります。てっとりばやく、しかも大切なのは新聞をしっかり読むことです。また実際に仕事をしている社会人の声にも耳を傾けてみましょう。
 手近なところでは、job-navi連載コラムの「週刊採用担当者」などもオススメです。
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 また逆に、すぐ何にでも興味をもつのはいいのですが、移り気で自分の軸足が定まらず、関心の対象がドンドン変わってしまい、そのためテーマが決まらないという人も要注意です。
 卒論作成の時にそうなってしまう人は、おおむね就活の際も、目移りしてなかなか自分の志望を決められません。しかし、時間は待ってくれないのです。
 本格的に動ける就活期間はごくわずか、それまでに充分によく調べ、よく考え、いろいろな分野領域を知ったうえで、自分自身を冷静に見つめながら、自分のやりたいこととそれを可能にする職種・業界・企業等を具体的に絞り込んでいきましょう。   

国際文化学部EC委員長 内田正博  (2004.01.20)