自立と目標


 大学生になって強く求められるのは、自立的精神と目標をもつことだといえるでしょう。大学がこれまでの学習環境と決定的に異なるのは、大幅な自由が与えられているということです。ふつう自由はポジティヴな概念ですが、自分で自分のすることを決められず目標をもっていない人にとっては、たんなる重荷になってしまいます。人間は「~からの自由」を享受するだけでは本当の自由は得られず、「~への自由」を獲得しないかぎり、真の自由への道は開けないのです。
 これまでおそらく皆さんは、受験勉強に多くの時間を割き、自分とは何者か、自分が本当にやりたいことは何かといった問題に正面から向き合うことはあまりなかったのではないでしょうか。しかし、卒業後の職業や進路選択を考えるとき、誰もがそうした問題にいやおうなく向き合うことになります。なぜなら、そのような切実な問題と深く取り組んだその先に、自分にふさわしい進路や職業がようやく見えてくるからです。
 かつて多くの学生たちは、就職活動をする3回生になって初めて自分の将来の仕事や目標について考えをめぐらせていました。就職に関する情報や選択肢が少なかった時代はそれでもよかったのですが、今のように、情報が溢れかえり職種や雇用形態が多様化した時代では、3回生になって自分の将来について考え始めるのは遅すぎます。
 もっと早くから自分の将来について目標や夢を見出していれば、大学での学びも、たんに単位を取るためだけの受動的な学習に留まらず、社会的関心や教養を深め、自分自身を磨くために積極的に学習し、さらにクラブ活動やアルバイトなどにおいても、いっそうその中身を充実させることができるようになるでしょう。
言うまでもありませんが、その目標はあくまで自分で見出さねばなりません。そこには、これまでの筆記試験の答えのように、誰にでも当てはまるたった一つの正解などありません。それは、人間の数だけ答えがあるという世界なのです。
 ぜひみなさんも、そんな世界の中から、一人一人が自分にふさわしい目標や夢を創り出してください。

 最後に、アメリカで公認会計士となり、ニューヨークの会計事務所で活躍している国際文化学部のひとりの先輩が、『学部案内2006』に書いた言葉を紹介しましょう。
 「高校生のみなさんが進路を決める時にまず考えるのは『ここに入ると何ができるのか?』だろうと思います。でもそれってけっこう受け身な考え方で、この学部案内を見ればわかるように、国際文化学部では『何でも』できますから、『何ができるか』ではなく、『何をしたいか』を考えないと『何もしない4年間』になってしまう可能性があります。」(柏原陽子さん 2001年卒)
    
   
国際文化学部CDC委員長  内田正博  (2004/04/01、2006/06/27更新)