国際文化学部で「学ぶ力」を身につけよう


 卒業式の折、卒業してゆく学生たちに、神戸大学で学生生活を過ごしてどうだったかと尋ねることがありますが、ある年に「神戸大学というより、国際文化学部で学んだことがよかったですね」と答えた学生がいました。
 たしかに国際文化学部には、上級生になるにしたがって、自分が所属する学部に対して愛着や誇りをもつ学生が多いようです。しかも社会に出てからいっそうその思いが強くなる卒業生はめずらしくありません。 なぜでしょうか?
 それは、卒業生たちが社会に出て実際に仕事をしていくなかで、国際文化学部で学んだことが非常に役に立ったという実感をもつことができるからなのです。
 しかしそれなら、いったいどんな知識や情報が実際に仕事をしていくうえで、役に立ったというのでしょう?
 法学部や経済学部、経営学部などに比べて、実務的な知識という点では、国際文化学部が提供する知識は明らかに不利なはずです。
 しかし、今のようにあらゆるものが激しく変わろうとする転換期やそれに加えてその変化のスピードがすさまじい時代には、専門的な知識や情報といっても、2、3年ですぐ時代遅れになってしまいます。今、求められるのは、そうした専門的知識を頭に詰めこむだけではなく、自分で学ぶ力やものの考え方をしっかり身につけることです。国際文化学部ででは、そうした学びのスタイル(自己学習能力)を重視しています。
 これからは、勉強は学校だけという時代はもはや過去のものです。めまぐるしく変化する時代を生きてゆくために、むしろ職業についてから勉強することが必要となってきました。文字通り生涯学習の時代となったのです。今や「学校を出たら勉強しよう」というコピーさえあるくらいです。
 解決不可能と思える様々な難問を抱えている世界や日本社会が今求めているのは、たんにペーパーテストに強いだけの人間ではありません。課題が与えられればそれに答えるだけの要領のよい受動的な人間ではありません。むしろ問題がどこにあるか発見し、その問題に自ら取り組んで解決していこうとする能動的なたくましい人間です。しかも現代の問題はあまりにも複雑なので、多くの知恵を借りながらチームとして事に当たることが求められますが、その際必要なのはコミュニケーション能力です。
 国際文化学部では、演習形式の授業でのそうした能動的な学習能力の育成に加えて、教育の中身としては、異文化理解というものをその核に据えています。
 国際化の進展にともない、あらゆる分野において、ますます多くの国や地域の文化を理解することが必要となってきました。異なる文化を積極的に理解しようとする姿勢、そして幅広い視野、あるいはものごとに対する多様な見方、そういったセンスを身につけて国際文化学部の学生たちは社会に出てゆきます。
 今、皆さんが受験勉強で身につけようとしている知識は、決して無駄にはなりません。大学に入ってからの能動的な学びを展開するためのベースとなります。
ぜひ国際文化学部に入って、現代社会が抱える多くの解決困難な問題に取り組む力を育みましょう。新しいスタイルの「学ぶ力」を身につけるために、神戸大学国際文化学部にチャレンジしてみませんか? (2004.07.20)

                      神戸大学国際文化学部エクステンションセンター
                               委員長 内田正博

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