就職活動って何だ?!― すべては面接で決まる

大学受験と就職活動との違いは何か?それは一言でいえば「面接」です。受験にはおおむね面接はないと言えますが、就職活動には不可欠のものです。近年行われるようになったAO入試等は別として、多くの場合受験では人柄や人物は問われません。その人に責任感があるか無いか、誠実かどうか、楽観的か悲観的か、喜んで仕事に取り組むかどうか、他人の話を聞ける人か聞けない人か、人間好きなのか嫌いなのか、サービス精神があるかどうか、自然な笑顔がこぼれるかどうか、リーダーシップがあるかないか、そんなことは大学に入る時にはいっさい求められません。求められたのは、ひたすらペーパーテストにおける優秀な成績だけでした。
しかし企業や役所は、つまりどこであれ職場は、責任感をもって積極的に仕事をしてくれる人、信頼して仕事を任せられる人、さらに一緒に仕事をして楽しい人を求めています。少し考えれば分かりますが、誰だって、頭はいいがヤル気のない人、口ばっかり立派でも行動や責任感の伴わない人、見事な分析や説明はできても今何をすればよいか判断や決断のできない人と一緒に仕事をしたいとは思いませんよね。
というわけで、とくに企業は面接を重視するわけです。ここでは偏差値や大学名はモノを言いません。企業や役所が見ようとしているのは、社会人・職業人に必要な基本的資質や能力です。皆さんの仕事に対する意欲・姿勢や社会的関心、思考力と感性、とりわけ広い意味でのコミュニケーション能力です。あるいは、問題発見能力、問題解決能力、そしてリーダーシップも大切です。最近ではそういった能力を判断するために、GD(グループディスカッション)も盛んに行われるようになっています。10年前のバブル期以前は、たしかに大学名が幅をきかせ、企業もこうした能力をとくに求めませんでした。
 しかし種々の規制の枠が外れ、情報があらゆる枠を越えて行き交い、さらに変化のスピードが大幅に増した今のような時代には、たえずそれまでにないビジネスモデルの構築や商品開発が求められるようになっています。均質な金太郎飴や指示待ち人間はもはや不要とまで言われるようになりました。今求められているのは、自分の心で感じ、自分の頭で考え、自分の言葉で話すことのできる人材なのです。
以上のような能力や資質を身につけてゆくためにも、あるいはめまぐるしく変化する時代に適応するためにも、これからは絶えざる自己学習が必須となります。そのうえ終身雇用や年功序列が崩壊しつつある状況の中で、いっそう継続的学習能力があるかどうかが問われるようになったのです。
これらの資質や能力の向上は、大学での学びと決して無関係ではありません。とりわけ演習形式の授業でのプレゼンテーションやディスカッション、それと卒論作成には積極的に取り組んで下さい。
最後にもう一つ、受験との大きな違いが就職活動にはあります。それは、就職活動には誰にでも通用するただ一つの正解はないということです。答えは無数にあります。しかもそれが、正解かどうか分からないという不安の中で、自分だけに当てはまる答えを探求し、時間をかけて見出してゆかねばなりません。(2003.08.22)

                  国際文化学部エクステンションセンター(EC)委員長   内 田 正 博


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