現代フランスにおける移民、女性、イスラーム ー『私のニカブの下に』を読む

-「現代フランスにおける移民、女性、イスラーム ー『私のニカブの下に』を読む」『神戸大学大学院国際文化学研究科異文化研究交流センター2010年度研究報告書』、2010年、神戸大学大学院国際文化学研究科、pp.54-62
( http://web.cla.kobe-u.ac.jp/group/IReC/report.html#2010 )

  Zeinaという女性が2010年5月に出版した"Sous mon niqab"という本について検討した。本書における主人公の衣服の変化を手がかりに、イスラームの信仰と衣服の関係について考察し、その結果、著者がフランスのムスリム社会における女性抑圧構造に抗議しており、本書がブルカ禁止法を支持しようとする目的で書かれたものであることが明らかになった。しかしZeinaは、その主張を直接的に声高に述べるのではなく、衣服という、女性の体に密着したものに対する皮膚感覚に基づいたイスラーム像およびマグレブ系コミュニティ像を提示していることが、本書の説得力の源になっていることがわかった。

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