近況: 2009年5月:一覧

インフルエンザ

 新型インフルエンザのため、今週金曜日まで大学が休講になってしまいました。神戸市灘区と中央区あたりは、昨日今日は4人に3人ぐらいの割合でマスクをしている人を見かけます。喫茶店やレストランなどはお客さんがかなり減っているように見えます。大学近辺では学生や高校生の姿をあまり見かけず、道行く人の平均年齢がずいぶん高く感じられます。
 今回のインフルエンザは幸い毒性があまり強くないようですが、もしこれが例の鳥インフルエンザなみの強さを持つものだったら、と考えるとかなりぞっとします。今度のことでさまざまな問題点や課題が見えてきたので、それらをひとつひとつきっちりつめていく必要がありそうです。
 先週土曜日に「大学が休講」という知らせがあったとたん、急に周りの空気がかわったような気がして、見るものすべてが疑わしくなりました。人ごみに出ることをなるだけ控え、食料を買い込んで自炊体制にしました。また、それまではマスクをしていなかった(花粉症のひどい時でもマスクをしたことはありません)のに、いったんマスクを着用するようになると、今度はマスクを付けてない人が危険な人に見えてしまう・・・。といった一種の「負のスパイラル」があることもわかりました。あきらかに合理的でも医学的でもない心理状態や行動様式がどのように生まれてエスカレートしていくのか、いわゆる風評被害を引き起こす心理的土壌はどんなものかということが少しながらわかったように思います。新型インフルエンザによる騒動とその影響が今後どう推移していくかを注意深く見ていくつもりです。

携帯電話の使い方

 10年ほど前までフランス語クラスで時々見せたヴィデオのひとつが、ソフィー・マルソー主演のラブ・ストーリー『スチューデント』(1988年制作)でした。フランスの大学生がどれほど勉強しているかがよくわかるきびしい試験風景、いかにもフランス的な(?)恋愛模様など、日本の学生にとっても非常におもしろくかつアクチュアルな興味をかきたてられると思ったからです。ところが、もはやこのヴィデオをみせても今の学生にはおそらくピンとこないのではないでしょうか。というのも、この映画における重要な小道具は「電話」だったのです。思うように会えない恋人たちは電話で話そうとするのですが、相手が仕事中だったり、夜中だったり、電話機がなかったりと、なかなか相手につながらないもどかしさがこの映画のおもしろさのひとつでした。今や誰でも携帯電話を持っていて、通話やメールで時間や相手の都合に関係なくメッセージを送れるようになり、コミュニケーションを取り巻く状況が全くかわってしまいました。ほんの20年ほどのあいだに男女の恋の育み方も変化したはずです。
 たとえば、2006年の映画『パリ、ジュテーム』。大学生の男の子が、自分の目前で石につまづいてけがをしたイスラム教徒の美少女に駆け寄ります。そして、彼女のほどけたスカーフを頭に巻き付ける手伝いをしてやります。髪の毛がきちんとスカーフに隠れているかを気にする少女に、彼は携帯電話で即座に相手の顔写真をとって鏡代わりに差し出します。もちろん、そのあとふたりは親しくなるのですが、私は携帯電話にこのような使い方があるとは考えたこともありませんでした。恋の小道具は常に進化するものなのですね。

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