20世紀前半における芸術と思想の異文化横断に関する
日独共同研究

 

代表者

    • 藤野 一夫

分担者

    • 石田 圭子
      池上 裕子
    • 朝倉 三枝
    • 板倉 史明

概要

本プロジェクトはベルリン自由大学美術史学研究所との国際共同研究である。ベルリン自由大学とは部局間交流協定の締結に基づき、学生交換のみならず教員交換と学術交流をいち早く実施している。本共同テーマは「20世紀前半における芸術と思想の異文化間の横断」である。本研究は、絵画、映像、デザイン、ファッション、舞台芸術などのジャンルを対象とし、20世紀前半の芸術文化・思想の文化横断的事象を解明する。異文化間の相互的視野を得ることを通して、当時の文化越境の状況とその内容をグローバルな観点から、総合的かつ多角的に考察することを目的としている。
 
 たとえば、1920年代から1940年代にかけて、多くの日本人留学生がヨーロッパに学び、帰国後日本の近代化に貢献した。その時代、日本に留学していたアジア諸国の学生は、日本を媒介としてヨーロッパの芸術文化に接触し、芸術文化面でのアジアの近代化に寄与することとなった。こうした文化間横断的な芸術伝播の諸相を究明し、幅広く紹介することは、とりわけ東アジア文化圏の歴史的形成の解明と将来の発展のために重要である。
 本プロジェクトが20世紀前半の文化横断的事象を研究対象とするのは、1990年代から急速に進展してきたグローバル化による社会文化的構造転換の本質的要因を、近代化過程の諸問題にまで遡源して解明するためである。また、日本と欧米の近代化における相互作用が、植民地統治下にあった東アジアの近代化と文化的変容に及ぼした影響を解明することによって、今後の日本におけるグローバルな文化研究のあり方を再構築する機会としたい。