マイノリティのコミュニティは自由をめざすのか、
平等をめざすのか ―米仏コミュニティ論比較―
代表者
- 松井 真之介
分担者
- 秋田 真吾
概要
20世紀初頭アメリカにおけるマイノリティの統合理念には大きく分けて、E.ウォードの個人型熟議民主主義的実践によるものと、J.コリアの、マイノリティのアイデンティティを重視したコミュニティ型(集団型)熟議文化多元主義的実践によるものが存在した。この対立軸は、現代フランスにおける政策側の共和主義的移民統合とマイノリティ側のコミュニティ主義的社会統合実践の対立軸と奇妙なほど一致している。
本研究はこの対立軸の一致に注目し、最終的に後者(コリア型-コミュニティ主義的統合)を選択したアメリカと、前者(ウォード型-共和主義的統合)を選択したフランスを比較し、米視点からは、20世紀初頭のこの対立がいかにコリア型の考え方に傾いていったか、仏視点からは、ウォード型に相当する革命以来の国家統合理念の中において、現代フランスに生きるマイノリティ自身がいかにコリア型のコミュニティ主義的な多元性を模索しているかを分析検討する。そうして社会におけるマイノリティの自由と平等の相剋を改めて照射し、彼らを包摂できる多文化共生なども含めた、「よりよい社会」のあり方に学術面から貢献・提言することが本プロジェクトの目的である。