グローバル化と宗教の再帰性に関する横断的研究
代表者
- 石森 大知(オセアニア島嶼部に関する研究)
分担者
- 柴田 佳子(カリブ海地域に関する研究)
- 窪田 幸子(オーストラリアに関する研究)
- 岡田 浩樹(東アジアに関する研究)
- 梅屋 潔(日本・ウガンダに関する研究)
- 齋藤 剛(北アフリカに関する研究)
- 中村 覚(中近東に関する研究)
- 伊藤 友美(東南アジア大陸部に関する研究)
- 貞好 康志(東南アジア島嶼部に関する研究)
プロジェクトの目的
本プロジェクトの目的は、グローバル化する現代社会における宗教復興を再帰性の観点から考察することで、流動化する世界における人びとと宗教の関係性を捉え直すことにある。これにより、同時多発的に起きつつある宗教復興の質的変化とその共通性を明らかにするとともに、文化人類学者・地域研究者を中心としつつも他分野を含めた学際的な研究基盤を整えることを目指す。
従来の研究において、宗教復興をめぐっては、修正派世俗化論もしくは反世俗化論によって分析されてきた。しかし、これらの研究はいずれも宗教を量的に捉える傾向が強く、その質的な変容を十分に論じてきたとは言い難い。さらに、従来の研究では、国家や「社会」を「世俗化」などの枠組みの前提としてとらえているために、移動・移住者・越境といったグローバル状況における宗教復興をとらえ切れていないと思われる。そこで本プロジェクトでは、再帰性の概念を踏まえたうえで、現在的状況の中で人びとが宗教に対してどのような反省・省察を行い、またそれが当該宗教の変容にどのようにつながっているのかを明らかにする。なかでも、西洋近代的な「宗教」概念の非西洋社会への浸透、そしてその社会的・文化的影響に注目し、自らの宗教を新しい視点から捉え直そうとする人びとの認識に迫る。
こうして得た資料をもとに、現代社会における宗教復興について、量的/要素還元的にではなく、質的/関係論的な視点からその実態を明らかにするだけでなく、グローバル化しつつある世界を前提とした様々な宗教の動向に横断的にアプローチするための枠組みを検討する。