シティズンシップ概念の地域的展開と理論的展開に関する共同研究

 
 

代表者

    • 梅屋潔(国際文化学研究科教授)

分担者

    • 柴田佳子(国際文化学研究科教授)、窪田幸子(国際文化学研究科教授)、岡田浩樹(国際文化学研究科教授)、
    • 齋藤剛(国際文化学研究科准教授)、中村覚(国際文化学研究科教授)、伊藤友美(国際文化学研究科教授)、
    • 貞好康志(国際文化学研究科教授)、石森大知(国際文化学研究科准教授)

 

プロジェクトの目的

 
このプロジェクトの目的は、西洋由来ではあるが柔軟な内容を含む分析概念として近年展開してきた「シティズンシップ」という概念の地域的展開に関する資料を蓄積し、グローバル化によって対応してきた地域による読み替え、流用、再解釈に関する実態を把握することにある。梅屋の研究協力者F・B・ニャムンジョは、移民する動機を理解するには、情緒的側面への理解が不可欠であるとの提唱をしている(2013)。この方向性を引き継いで、梅屋はニャムンジョらとの共同研究を進めているなかで、シティズンシップ研究にも墓や位牌など死者を表象する象徴の存在や「死者のエージェンシー」といった概念を含めて考えるべきだとする議論が展開しつつある。つまり、例えば移民を例にとったときに、死んだ後の弔いの可能性が保証されていれば移住しやすいこともあるし、動機としては移住の希望があっても、自らの代々の墓や位牌が特定の場所にあるためにそこを離れたくないといった事情も容易に想定されうるからである。このように、生きている実際の狭義の形式的シティズン以外にも考慮に含めるべき要因が認められること、シティズンシップ理解にはそうした側面を含めるべきであるとの提案がなされている現在、情緒的なもの、死者の存在以外にも考慮すべき地域的なファクターを地域研究的に蓄積することで、従来では視野に入らなかったシティズンシップ概念の展開を目指す。また、本研究科で進められてきた「移民」の動機や動因についての民族誌的貢献および蓄積された資料を分析するための理論的な骨格を構築するうえで貢献することも構想されている。
Nyamnjoh, F. B. 2013 Fiction and Reality of Mobility in Africa,Citizenship Studies Vol.17(6-7):653-680.


 
 
研究会等の情報