移民社会におけるセミパブリック・スペースの重要性とその利用実態に関する研究 

 
 

代表者                        

    • 栢木 清吾(神戸大学国際文化学研究科・協力研究員)

分担者

    • 小林 瑠音 (神戸大学国際文化学研究科・学術研究員)
    • 松井 真之介(神戸大学国際文化学研究科・協力研究員)                 

 協力者

  •  ケイン 樹里安(大阪市立大学都市文化研究センター・研究員)    
  •  金南 咲季(椙山女学園大学人間関係学部・専任講師)             
     
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プロジェクトの目的

 
 近年、社会学や地理学、都市研究の分野では、移民社会における集まりと出会いの場としてセミパブリック・スペースへの関心が高まっている。セミパブリック・スペースとは、所有の面では特定の個人や団体に帰属する空間でありながら、利用の面では(完全にではないにせよ)あらゆる個人に開かれている空間のことである。具体的には、寺院や教会などの宗教施設、地域のコミュニティ・センター、学校の校庭、カフェや書店、(とりわけチェーン展開されている低価格帯の)各種飲食店、大型商業施設の軒先やフードコート、コンビニやホームセンターの駐車場、SNS上のグループやフォーラムなどが挙げられる。経済的な資源はもちろん移住先の生活情報を十分に持たない新来者でも容易にアクセスできる敷居の低さから、こうした空間には移住者の交流や情報交換の場が作られやすい。また、儀礼的無関心によって特色づけられる路上や広場などの公共空間での遭遇や接触が一過性のものに終わることが多いのと異なり、セミパブリック・スペースの利用者には一定程度の固定性と、利用の周期性が生じやすいことから、親密感や帰属感の育む場となりやすく、同時にエスニシティや宗教、習慣、ジェンダーや世代などの面で異なる背景を持つ住民間の多文化的コミュニケーションを促す側面があると指摘される。本プロジェクトは、プロジェクトの参加者が専門とする様々な地域におけるセミパブリック・スペースの利用事例を集約するとともに、移民社会における同空間の重要性に関する理論的枠組の構築を目指す。