2002年〜2018年のベトナムにおける日本の翻訳書に関する研究

 
 

代表者

    • Nguyen Thanh Tam(国際文化学研究推進センター協力研究員)

 協力者

    • Nguyen Tran Dieu Huyen(国際文化学研究科博士課程前期課程 )

 

プロジェクトの目的

 
 翻訳は言葉を通した文化・社会的交流の一種である。ある国についての(起点言語での)出版物の増減は、それらに対する目標言語の社会の関心度に因る所が大きい。どの本が翻訳される背景には翻訳者・出版関係者の選択のみならず、歴史的要因があると考えられる。
 日本とベトナムは、中国から漢字を借用してきたことから、日本語とベトナム語の語彙には意味も語感も共通するものが多いと思われる。両国の交易関係は16世紀にまで遡り、文学交流も20世紀初頭には始まったと言われているが、その中で、日本との実質的な外交関係が結ばれた期間はそれほど長くはなかった。翻訳の歴史では、1990年前半まで、ベトナムにおける日本文学は殆どが中国語や英語、フランス語等の媒介言語を通して、ベトナム語に翻訳されてきた。2002年以降、日本文学の直接翻訳が多く行われるようになると共に、重訳は減少する傾向にあるが、まだ数は多い。また、媒介言語の翻訳を使いながら、原文も参考にして翻訳を進めるという形式も何冊か出版されている。しかし、文学ではないジャンルでは、こうした現象はどうなっているのかという課題は残っている。2000年代以降のベトナムにおいて、日本との友好関係が深まると共に、年々日本の翻訳書が増えている傾向にある。2002年にベトナムがベルヌ条約に加盟し、翻訳書の出版事柄に大きな変化を起した。その中には著作権を明確に表示する必要性や読者の要求が述べられている。本プロジェクトは2002年から現在(2018年ごろ)にかけて、翻訳書の調査を通じて、日本の事象に対してベトナム人の関心がいかに反映されるのかを考察することとする。このプロジェクトから得た結果を通してベトナムにおける日本の翻訳歴史という大きな研究に貢献したい。
 


 
 
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