IReC 研究部プロジェクトメンバー坂井一成准教授の企画による、神戸大学主催でIReC 研究部との連携事業である国際ワークショップ「日欧関係の歴史・文化・政治」が2012 年3 月6 日(火)にベルギーの神戸大学ブリュッセル・オフィス(KUBEC)で開催された。 本ワークショップは、神戸大学の「2011 年度ブリュッセルオフィスを拠点とするワークショップ等助成事業」として支援を受けて実施したものであり、神戸大学創立110 周年記念事業の一環にも位置づけられた。国際文化学研究科としては、ブリュッセルオフィスのオープニング記念事業の一環で、2010 年度にも国際ワークショップ「ヨーロッパ統合の基層における文化の役割」を昨年3 月5 日にブリュッセル自由大学(ULB)を会場に実施しているが、今回のワークショップも同様にブリュッセルオフィスを拠点として、日欧間の人文社会系分野における研究交流を促進するための事業として企画されたものである。 今年度は日本研究及び日欧関係を題材に、ヨーロッパの研究者で日本を専攻している方から報告を頂き、それに日本でヨーロッパを研究している研究者が議論を投げかける形で、相互理解を促しながら新たな課題や問題視角の発見を目指すものであった。 講演者として招聘したのはベルギー、スペイン、イタリアの研究者である。ベルギーからは、国際文化学研究科が大学院博士前期課程でのダブルディグリー協定を結んだパートナーでもあり、今後さらなる研究教育交流が見込まれるルーヴァン・カトリック大学(KUL)の日本学科の主任教授であり、2006 年には長年の日本研究と日本理解のための教育の功績を称えられて日本政府から旭日中綬章を受章したヴィリー・ファンデヴァーレ(Willy F. Vande Walle)氏を招いた。スペインからは、慶應義塾大学で日本外交史を専攻した新進気鋭のカタロニア放送大学准教授リュック・ロペスヴィダル(Lluc López Vidal)氏を、イタリアからは、一橋大学で学んだ後、ヨーロッパにおける日本研究の一つの拠点となっているナポリ東洋大学アジア学部で准教授を務め、日本外交・国際関係論を講じているノエミ・ランナ(Noemi Lanna)氏を招いた。そして神戸大学からはEU の対外政策研究を専攻する坂井准教授のほか、IReC 研究部プロジェクトメンバー岩本・寺尾・坂本がパネリストとして参加し、その他の神戸大学教職員、在欧州神戸大学生、ヨーロッパの日本学専攻学生など総勢20 数名が集まった、非常に密度の濃い研究集会であった。
三浦伸夫 (異文化コミュニケーション論講座) 石川達夫(地域文化論講座) 藤野一夫 (現代文化論講座) 岩本和子 (現代文化論講座) 坂井一成 (異文化コミュニケーション論講座) 寺尾智史 (異文化研究交流センター協力研究員) 松井真之介 (メディア文化センター 学術推進研究員) 植朗子(異文化研究交流センター協力研究員)
今年度の目的は、基本的にはこれまでの3 年間(「多言語・多民族共存と文化的多様性の維持に関する国際的・歴史的比較研究」「ヨーロッパにおける多民族共存とEU――多民族共存への多視点的・メタ視点的アプローチ」「ヨーロッパにおける多民族共存とEU――その理念、現実、表象」)の蓄積を踏まえ、サブタイトルに「言語」「文化」「ジェンダー」を出して、言語・文化に関する研究を深めるとともにジェンダー分野の研究も付け加えることにする。
主なものは以下の通りである。 ヨーロッパにおける多民族共存や多文化共存が芸術作品や文化活動にどのように影響しているかをベルギーなどを例として分析・考察する。 ヨーロッパの国々において多民族共存、マイノリティと少数言語保護がどのように行われているかをフランスなどを例として分析・考察する。 外部から研究者を招いて、オランダ、イタリア、ベルギーなどにおける文化やジェンダーの諸問題に関する講演をしていただく。 最終的なまとめとして、本プロジェクトメンバーの研究成果と、講演会、公開セミナー、研究会などの成果を研究報告書にまとめて、本ホームページ上で公開する。