ヨーロッパにおける多民族共存とEU――言語、文化、ジェンダーをめぐって
活動状況
  • 3月6日、神戸大学ブリュッセルオフィス(KUBEC)にて神戸大学主催日欧合同ワークショップ(IReC研究部との連携ワークショップ) 「日欧関係の歴史・文化・政治〜日欧間の文化交流と政治関係をめぐって」を開催。[詳細
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  • 2月13日研究セミナー「フランスのマイノリティにおける言語教育 ―ブレイス語のディワン学校と在仏アルメニア学校を例に―」(講師:松井真之介氏) [詳細
  • 2月10日メディア文化研究センターとの共催セミナー「3.11以後の思想―アドルノの『否定弁証法』に即して―」(講師:高橋順一氏)[詳細
  • 1月24日「ヨーロッパにおける多民族共存とEU」主催の研究セミナー「『組み合わせ』の技法 ―オランダ社会におけるワークライフバランスの実践」(講師:中谷文美氏、コメンテーター:青山薫氏)[詳細
  • 12月22日研究セミナー「ベルギーにおける多文化共存の諸相」(講師:三田順氏、岩本和子氏)[詳細
  • 7月14日講演会「EUにおける音楽活動の現状―外国人、移民の立場」( 正木裕子氏、日野原秀彦氏)[詳細
国際ワークショップ
 IReC 研究部プロジェクトメンバー坂井一成准教授の企画による、神戸大学主催でIReC 研究部との連携事業である国際ワークショップ「日欧関係の歴史・文化・政治」が2012 年3 月6 日(火)にベルギーの神戸大学ブリュッセル・オフィス(KUBEC)で開催された。 本ワークショップは、神戸大学の「2011 年度ブリュッセルオフィスを拠点とするワークショップ等助成事業」として支援を受けて実施したものであり、神戸大学創立110 周年記念事業の一環にも位置づけられた。国際文化学研究科としては、ブリュッセルオフィスのオープニング記念事業の一環で、2010 年度にも国際ワークショップ「ヨーロッパ統合の基層における文化の役割」を昨年3 月5 日にブリュッセル自由大学(ULB)を会場に実施しているが、今回のワークショップも同様にブリュッセルオフィスを拠点として、日欧間の人文社会系分野における研究交流を促進するための事業として企画されたものである。 今年度は日本研究及び日欧関係を題材に、ヨーロッパの研究者で日本を専攻している方から報告を頂き、それに日本でヨーロッパを研究している研究者が議論を投げかける形で、相互理解を促しながら新たな課題や問題視角の発見を目指すものであった。 講演者として招聘したのはベルギー、スペイン、イタリアの研究者である。ベルギーからは、国際文化学研究科が大学院博士前期課程でのダブルディグリー協定を結んだパートナーでもあり、今後さらなる研究教育交流が見込まれるルーヴァン・カトリック大学(KUL)の日本学科の主任教授であり、2006 年には長年の日本研究と日本理解のための教育の功績を称えられて日本政府から旭日中綬章を受章したヴィリー・ファンデヴァーレ(Willy F. Vande Walle)氏を招いた。スペインからは、慶應義塾大学で日本外交史を専攻した新進気鋭のカタロニア放送大学准教授リュック・ロペスヴィダル(Lluc López Vidal)氏を、イタリアからは、一橋大学で学んだ後、ヨーロッパにおける日本研究の一つの拠点となっているナポリ東洋大学アジア学部で准教授を務め、日本外交・国際関係論を講じているノエミ・ランナ(Noemi Lanna)氏を招いた。そして神戸大学からはEU の対外政策研究を専攻する坂井准教授のほか、IReC 研究部プロジェクトメンバー岩本・寺尾・坂本がパネリストとして参加し、その他の神戸大学教職員、在欧州神戸大学生、ヨーロッパの日本学専攻学生など総勢20 数名が集まった、非常に密度の濃い研究集会であった。
プロジェクトの内訳
2011年度 研究部プロジェクト
代表者
坂本千代(地域文化論講座)
分担者

三浦伸夫 (異文化コミュニケーション論講座)
石川達夫(地域文化論講座)
藤野一夫 (現代文化論講座)
岩本和子 (現代文化論講座)
坂井一成 (異文化コミュニケーション論講座)
寺尾智史 (異文化研究交流センター協力研究員)
松井真之介 (メディア文化センター 学術推進研究員)
植朗子(異文化研究交流センター協力研究員)

経費の出所
異文化研究交流センター プロジェクト経費
概要
(1) プロジェクトの目的と必要性
 今年度の目的は、基本的にはこれまでの3 年間(「多言語・多民族共存と文化的多様性の維持に関する国際的・歴史的比較研究」「ヨーロッパにおける多民族共存とEU――多民族共存への多視点的・メタ視点的アプローチ」「ヨーロッパにおける多民族共存とEU――その理念、現実、表象」)の蓄積を踏まえ、サブタイトルに「言語」「文化」「ジェンダー」を出して、言語・文化に関する研究を深めるとともにジェンダー分野の研究も付け加えることにする。
(2) プロジェクトの活動計画
 主なものは以下の通りである。
  • ヨーロッパにおける多民族共存や多文化共存が芸術作品や文化活動にどのように影響しているかをベルギーなどを例として分析・考察する。
  • ヨーロッパの国々において多民族共存、マイノリティと少数言語保護がどのように行われているかをフランスなどを例として分析・考察する。
  • 外部から研究者を招いて、オランダ、イタリア、ベルギーなどにおける文化やジェンダーの諸問題に関する講演をしていただく。
  • 最終的なまとめとして、本プロジェクトメンバーの研究成果と、講演会、公開セミナー、研究会などの成果を研究報告書にまとめて、本ホームページ上で公開する。
  • (3) これまでのおもな関連業績
  • 石川達夫『チェコ民族再生運動──多様性の擁護、あるいは小民族の存在論』(岩波書店、2009年)
  • 坂井一成『ヨーロッパの民族対立と共生』(芦書房、2008年)
  • 岩本和子『周縁の文学——ベルギーのフランス語文学にみるナショナリズムの変遷』(松籟社、2007年)
  • 藤野一夫「文化多様性」をめぐるポリティクスとアポリア──マイノリティの文化権と文化多様性条約の背景」『文化経済学』第22号、2007年3月、文化経済学会、pp.7-14.
  • 三浦伸夫「科学伝搬における覇権言語の興亡」、木村護郎クリストフ・渡辺克義編『媒介言語論を学ぶ人のために』、世界思想社、2009年6月刊所収。
  • 寺尾智史「言語観の日欧比較文明論——"言語外言語"視座から見た"言語内言語"の可能性」『比較文明』(比較文明学会、査読付き)23号、2007年、pp.205−222.
  • 松井真之介「オスマン帝国の1915年アルメニア人ジェノサイドにおけるフランス国家の認知問題──EU、トルコ、フランス」神戸大学大学院国際文化学研究科 異文化研究交流センター 研究部2009年度プロジェクト報告書『ヨーロッパにおける多民族共存――多民族共存への多視点的・メタ視点的アプローチ』、2010年、pp.41-60.
    「フランスのアルメニア学校の建設と運営」『フランス教育学会紀要』(フランス教育学会、査読付き)第21号、2009年、pp.79-93.
  • 連絡先
    坂本千代研究室
    住所 〒657-8501
    神戸市灘区鶴甲1-2-1 神戸大学国際文化学研究科 (E 215号室)
    TEL/FAX 078-803-7425
    E-mail csakamot*kobe-u.ac.jp
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