国際人材流動における受け入れ・送り出し社会の課題の探索的研究
―ベトナム人労働者の日本・ベトナム間の移動を対象として―
代表者
- 齊藤美穂(神戸大学国際文化学研究科・准教授)
分担者
- 岡田浩樹(神戸大学国際文化学研究科・教授)
- 川上尚恵(神戸大学国際文化学研究科・講師)
- 朴秀娟( 神戸大学国際文化学研究科・講師)
- 野上恵美( 神戸大学国際文化学研究科・協力研究員)
- NGUYEN, Thanh Tam(神戸大学国際文化学研究科・協力研究員)
プロジェクトの目的
本プロジェクトは、国際人材流動の一例としてベトナム人労働者に注目し、彼らの日本・ベトナム間の移動によってそれぞれの社会に生じる課題を探求することを最終目的とする。日本政府は2014年から外国人労働者の受け入れ拡大を行い、2019年4月1日には、在留資格として「特定技能」を新設した。これにより今後日本国内では様々な対応が必要となる。その一つとして、同資格での受け入れにあたり、日本語と技能別の試験を課すことになっているが、その日本語試験のあり方については十分な議論が行われておらず、当該の技能分野での就労に十分な日本語能力を測る指標として、その妥当性の検証等が必要となる。一方ベトナムは、日本における外国人雇用状況調査において近年最も大きな伸びを示しており、今後さらなる増加が見込まれるが、これはベトナム社会からの労働者の大量流出をも意味する。彼らは日本での在留期間が終われば帰国するが、必ずしも元の出身地に戻るとは限らず、ベトナム国内での人材の移動も起きつつある。日本国内の労働力不足の解消手段として、現行の仕組みで外国人労働者の受け入れを継続的に行っていくのであれば、このようなベトナム社会の変化にも注意を向けておく必要がある。
そこで、本プロジェクトでは、主として神戸地域で就労するベトナム人を対象に、彼らの①日本語能力と日本語ニーズ、②就労環境と就労に関する意識、そして、③送り出し社会の変容の3つの観点から調査を行うこととする。