環大西洋の思想交流における
社会的なものと信仰的なものとの葛藤と変容

 

代表者

    • 井上 弘貴

分担者

    • 清川 祥恵
    • 秋田 真吾(博士課程後期課程)
    • 野谷 啓二

概要

本プロジェクトは、英国とアメリカ合衆国にまたがる環大西洋を舞台として、19世紀の半ばから後半にかけて勃興してきた社会改革思想の諸潮流がもつダイナミズムを、産業化の進展とキリスト教内部の変革というふたつの側面から歴史的に描き出すことを目的とする。
より具体的には、一方では英国におけるウィリアム・モリス(William Morris, 1834-1896)の社会改革思想、あるいはまた、ジョン・ヘンリー・ニューマン(John Henry Newman, 1801-1890)らが開始したオックスフォード運動ならびにそうした改革運動とも密接に関連を有するフレデリック・デニソン・モーリス(Frederick Denison Maurice, 1805-1872)やチャールズ・キングズリー(Charles Kingsley, 1819-1875)といったキリスト教に立脚した社会改革思想家たち、他方では合衆国におけるワシントン・グラッデン(Washington Gladden, 1836-1918)、ジョサイア・ストロング(Josiah Strong, 1847-1916)、W・D・P・ブリス(William Dwight Porter Bliss, 1856-1926)といった社会的福音(social gospel)と呼ばれる一群のキリスト教思想家たち、ならびにジェーン・アダムズ(Jane Addams, 1860-1935)に代表されるソーシャル・セツルメント運動の社会改革家たちの歴史的検討をつうじて、大西洋を横断する一連の社会改革運動のあいだでの思想交流を明らかにすることを目的とする。