「異文化誤解」のメディア表象論

 

代表者

分担者

    • 山口 隆子
    • 南郷 晃子
    • 湯 瑾
    • 横山 純(博士課程後期課程)
    • 前川 真裕子(三重大学人文学部特任准教授)

概要

本プロジェクトの目的は、現在社会の多文化的環境における人びとの出会いが、メディア空間のなかでどのように表象されているのかを研究することに ある。異文化的な背景を持つもの同士が誤解や不信を孕みながらも、同一の社会空間のなかで共に生活を営んでいる。それこそが、グローバル化の進展が生んだ 現代の多文化社会の現実であり、人びとの日常的な営み(=文化)であるはずである。しかし、メディアを通じて異文化間の出会いが表象される場合、往々にし てそうした「誤解」の諸相が捨象され、安易な「相互理解」が可能なものであるかのように映しだされる。あるいは暴力や紛争の根源としての「異文化」が過度 に可視化されがちである。昨今の排外主義の動向を想起するまでもなく、重要なのは、人びとが差異と出会う現実を表象することそれ自体であり、いわば日常的 に生起する「異文化誤解」の側面を考察することが求められている。こうした問題意識の下、本プロジェクトでは、社会学、人類学、歴史学、都市研究、メディ ア研究など複数の関連領域を横断する視座から、テレビ番組、旅行雑誌、文学作品、近世写本、映画、音楽などといった多岐に渡る媒体の分析を行うことで、多 文化社会を生きる人びとのリアルな現実と、それに接近し、表象し直すために必要とされる人文社会科学的な理論構築を目指す。