移住者にとっての境界線と人権


What Do Borders and Human Rights Mean for Migrants? 
 
日本側代表者:
桜井 徹(神戸大学国際文化学研究科教授)
 
相手国側代表者:
Kolja RAUBE  (Senior Researcher, Leuven Centre for Global Governance Studies, University of Leuven)


 平成29年度の研究交流活動計画  


基本的人権の根拠がますます普遍的な人間的属性に置かれるようになった一方、主権原理に基づく国家の入国管理権が自明視されている現代世界では、各々の主権国家は、「境界線を乗り越えようとする移住者をいかに処遇すべきか」という難題に直面している。とりわけ自由民主主義国家は、移動の自由や社会権という人権を、国民の成員資格の“限界”と何とか折り合わせなければならない。普遍的人格と個別的なナショナル・アイデンティティとを基礎とする2つの矛盾する倫理的要請をいかにして調整できるのか。現代のEU諸国も突き付けられているこの課題に、私たちは今年度、ストックホルムと神戸にて開催される予定のセミナーの場で共同討議と相互批判を重ね、多くの当事者がより納得できる解答を練り上げていく予定である。

 平成29年度に期待される成果


ストックホルム大学においてマウロ・ザンボーニ教授の主催で今秋に開催される予定のR-1に関する国際ワークショップでは、日本、ドイツ、イタリア、ベルギー、スウェーデン等の諸国から研究者が集まり、特にEUで問題化している移民・難民の普遍的人権と国境線管理――形象化されたナショナリズム――との相克について議論を深める運びである。また、2月に神戸で開催される予定のセミナーでは、アジアからの多くの研究者も参加して、約2年間の研究と討議の成果を相互に投げかけることを通じ、上掲の理論的課題の解決に向けていっそうの進歩を遂げる見通しである。  以上の相互研鑽を経て、今年度は、「世界的に増大しつつある移民がなぜこれほど「国民への帰属」という問題を尖鋭化するのか」、又は「一部のイスラーム主義者による無差別テロの背景にはいかなる歴史と社会構造が存在するのか」といった現代世界が共有する規範的課題に対処するための適切な処方箋の方向性が見えてくることが期待されるので、その共同研究の成果の公表に向かって前進する。


 平成28年度の研究交流活動計画  


基本的人権の根拠がますます普遍的な人間的属性に置かれるようになった一方、主権原理に基づく国家の入国管理権が自明視されている現代世界では、各々の主権国家は、「境界線を乗り越えようとする移住者をいかに処遇すべきか」という難題に直面している。とりわけ自由民主主義国家は、移動の自由や社会権という人権を、国民の成員資格の“限界”と何とか折り合わせなければならない。普遍的人格と個別的なナショナル・アイデンティティとを基礎とする2つの矛盾する倫理的要請をいかにして調整できるのか。現代のEU 諸国も突き付けられているこの課題に、私たちは今年度、神戸と釜山にて開催される共同討議の場で相互批判を重ねつつ、多くの当事者がより納得できる解答を練り上げていく予定である。

 平成28年度に期待される成果


神戸で今秋に開催予定のキックオフ・シンポジウムでは、日欧亜の主要な研究機関の研究者が、まずはお互いの問題設定と基本的価値観を持ち寄り、研究者相互で規範的課題を少しでも多く共有できるように試みる。また、それから半年後に釜山で開かれるワークショップでは、半年間の研究と思索の成果を相互に明らかにすることを通じて、上掲の理論的課題をいっそう明確化・先鋭化することを目標としている。
 
以上の相互研鑽のプロセスを経て、今年度は、日欧亜の諸国が共有する規範的窮地に対処するための適切な方向性を打ち出し、政策提言を含めた研究成果の追究へと前進することが期待されている。

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