国境を越える親密性/公共性


Intimacy/Publicness beyond Borders
 
日本側代表者:
青山 薫 (神戸大学国際文化学研究科教授)

相手国側代表者:
Sureeporn PUNPUING (Associate Professor, Mahidol Migration Center, Institute for Population and Social Research, Mahidol University) 


平成29年度の研究交流活動計画  


人口動態の変化と人の移動がもたらすケアのグローバル化に際し、当課題では、今年度も引き続き、1)家事労働、介護・看護労働、性労働、結婚にかかわる移民・移住研究、2)「移民」の表象の研究 というテーマに沿って、神戸とナポリまたはヒルデスハイムでのシンポジウムを通じて、それぞれの研究の日欧亜における現在までの蓄積を比較する。また、昨年度中に課題として浮かび上がってきた、移住を伴うケア労働・性労働の是非論と労働者の権利保障における矛盾について、および国家と地域・家族を結ぶ自治体の役割について追究し、これらに表象が果たす役割についても検討する。具体的には、国内協力機関・協力者との研究会およびタイ拠点機関であるマヒドン大学における研究会を予定している。さらに、昨年度末第三国のUKでも開催するなど大きく飛躍した次世代セミナーでは、R1~R6と協力して、神戸のほか、移民・開発研究で名高いサセックス大学(UK)の移住研究センター等における次世代ワークショップの開催をめざす。

 平成29年度に期待される成果


上述の2つのテーマについて、EUとアジアにおける域内の労働移動によるケア関係の変化について、日本においては「国家戦略特区」における外国人「家事支援人材」の活用をめぐる言説と政策の影響について、そしてこれらの結果としての各地での性規範、家族規範、ジェンダーと「人種」が交差する社会階層構成の再編についての研究を構造化する。とくに、ILO189号(移住家事労働者権利)条約の批准と、男女平等あるいはワークライフバランス社会をめざすことの矛盾について、各国・各地の比較が注目される。また、EU離脱を決めた第三国であるUKについても焦点を当てる。次世代ワークショップでは、最先端の研究成果を交換し蓄積すると同時に、ネットワーキングの次世代への展開と継承を進めることができる。


平成28年度の研究交流活動計画  


ケアをめぐる関係と労働がグローバル化し、「再生産様式の転換」とも呼ばれる事態が進行するなか、近代市民社会成立以来の公私――公的世界と親密な関係性――の区別が揺らいでいる。一方、ケアを社会の周縁に位置づける傾向と移民・移住者を他者化する傾向が、同時に激化しているようにも見える。こういった、人の移動がもたらす歴史的な転換と軋轢に際し、当課題では、具体的に 1)家事労働、介護・看護労働、性労働、結婚にかかわる移民・移住研究、2)「移民」の表象の研究 というテーマを設け、28年度は、神戸と釜山でのシンポジウムを通じて、それぞれの研究の日欧亜における現在までの蓄積を比較する。そして、各地で何が起きているのか、差異および類似点は何か、差異や類似の要因は何かを検討し、今後の研究方針を定める。また、次世代セミナーも利用し、これら2つのテーマについて次世代研究者とも知見を交換する。

 平成28年度に期待される成果


上述の2つのテーマについて、日欧亜各地で今日もっとも大きな社会問題と化しているイシュー/現場を特定し、他の課題の共同研究とも協働しつつ、29年度から31年度にかけて実施する研究計画を立てる。EUとアジアにおいては域内のケア関係・労働移動が、日本においては「国家戦略特区」における外国人「家事支援人材」の活用をめぐる動向が、そしてこれらの結果としての各地での性規範、家族規範、社会階層構成の変化が、とくに注目されよう。

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